ID:22831
『日々の映像』
by 石田ふたみ
[257854hit]
■人の話しを聞き広角的な視点を持とう(2)
もう一つ気になることがある。8月27日付ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)に掲載された鳩山由紀夫氏の論文をめぐる議論である。元になったのは、鳩山氏が9月号の雑誌「Voice」に寄稿した「私の政治哲学」だ。鳩山事務所が日本文と英訳をホームページに載せたところ、これに米紙が着目し要約を掲載した。転載の了承はしたが「寄稿」とされた。鳩山氏はこの中で、米国主導のグローバリズムや市場原理主義を批判し、アジアに位置する国家としてのアイデンティティーを強調、経済、安保両面でのアジア共通の枠組み構築を提起している。
この論自体をどう評価するかは考え方が分かれよう。露骨な米国批判を慎むべきだ、との声もあるだろうし、米国に対等に物申すスタート台と受け止める向きもある。
問題は、この論文が、「反米的」と受けとめられその印象論が独り歩きしていることだ。論文では、あくまでも「日米安保体制が日本外交の基軸であり続ける」ことを前提にしているにもかかわらず、である。民主党の外交・安保政策は、むしろ我々がこれまで指摘してきたように「日米対等化」の方向性のみあるだけで具体的な中身に乏しいところに特徴があった。なのに「反米的」との決めつけは早すぎはしまいか。
我々が懸念するのは、両首脳の肉声による対話が始まる前にこういった両国間の論調のキャッチボールが、実態以上に膨れあがり、そのこと自体が新たな政治問題を生むことである。オバマ大統領が約10分といえども首相になる前の鳩山氏に電話をして日米基軸を相互に確認したのは、この空中戦に対する米政権の賢明な配慮であると受け止めたい。
我々はいま初めてのマニフェスト選挙による政権交代を経験しようとしている。できるだけその芽を大事に育てて果実を得たいものである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
社説:小沢幹事長 鳩山氏は内閣主導貫け 9月5日毎日
「鳩山政権」発足に向けた民主党の新体制作りがスタートした。鳩山由紀夫民主党代表は、党運営の中心となる幹事長に小沢一郎代表代行の起用を決定、官房長官には鳩山氏側近の平野博文・党役員室長が内定した。岡田克也幹事長は外相となる見通しで、菅直人代表代行らも重要閣僚として処遇するという。
注目されるのは、やはり小沢氏の幹事長起用だ。さっそく「実際には小沢氏が支配する二重権力構造になる」と懸念する声が出ている。だが、そうであってはならないのは鳩山氏も十分承知だろう。政策決定は首相主導の下、内閣に一元化するという方針を貫いてもらいたい。
小沢氏は幹事長に就任することで従来の選挙対策だけでなく、国会対応などを含めた党運営全体を担うことになる。民主党が今回の衆院選で獲得した308議席のほぼ半数を占める新人の多くが小沢氏の影響を受けており、小沢氏の党内基盤が強固になったのは間違いない。
ただし、小沢氏が新政権を主導する二重構造になると直ちに決めつけるのは早計だ。幹事長はまさに党の「表」のポストだ。責任ある役職に就かず、裏で差配する「闇将軍」的な存在にならないために、小沢氏が表のポストに就任したと見ることも可能だからだ。
93年誕生した細川政権の時には、小沢氏は内閣に入らず、当時の新生党代表幹事として与党代表者会議を取り仕切って、政府の政策決定もリードした。だが、この二元的な意思決定の仕組みが、与党と官邸との関係をぎくしゃくさせると同時に、小沢氏の強引な手法が、その後連立与党の瓦解を招いたのは事実だ。その反省は小沢氏にも当時官房副長官だった鳩山氏にもあるはずだ。
鳩山氏は「幹事長は政府の中に入って仕事をするわけではない。政策の決定はすべて政府の中でやる」と話している。新政権は官僚支配を排して政治主導、官邸主導の政策決定を目指している。まだ政権はスタートもしていない段階だ。ここは鳩山氏のリーダーシップを期待して、今後を注視していくことにしたい。
[5]続きを読む
09月09日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る