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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■世界不況 非正規社員8万5000人の解雇
 このうち年内に職を失う労働者は5万2684人。12月だけで、3万4368人が失業する見通しだ。派遣契約の途中で契約を解除される派遣労働者は2万9451人を数える。
 再就職の状況が分かった1万7171人のうち、9割近くは「就職先なし」。就職先が決まっているのは1割程度にとどまっており、再就職の困難さが浮き彫りになっている。
 ◇国や自治体の対策
 非正規社員の大量失業を受け、政府や自治体は、就業や住宅確保の支援に相次いで乗り出した。
 トヨタ自動車のおひざ元の愛知県豊田市は失業した非正規社員約100人を臨時雇用したり、最大40万円を無利子で融資する対策を打ち出した。愛知県も約200人を県職員として臨時採用する。
 キヤノングループの製造拠点の大分市は、就職先や住居が決まるまで、市営住宅を月5000円で貸し出している。別府市旅館ホテル組合連合会も、市内のホテルで70人以上を雇用する方針。
 富士重工業の群馬製作所がある群馬県太田市は、解雇や契約打ち切りとなった市内居住者を対象に、ホームヘルパー2級の資格取得に必要な研修費用の半額を助成する。
 滋賀労働局は各地で週1日の「外国人出張行政相談コーナー」を新設。ポルトガル語やスペイン語で雇用保険の手続きを紹介するなど、外国人の生活相談にのる。
 一方、国は、失職して会社の寮を出された派遣労働者らの住宅として、雇用促進住宅の空き室約3万室を活用する方針。来年1月には受け入れを開始する。
 ◆識者の処方せん
 ◇失業者は「被災者」だ−−浜松大准教授・柴崎孝夫さん(57)
 トヨタ自動車は、安い部品を効率的に調達する「カンバン方式」を徹底追求して生産性を高め、世界的な企業に成長した。日本の企業は人材確保にもこの方式を導入し、非正規社員を増やしてきた。それが、今回の不況で失業者の急激な増加を招いた要因だ。
 企業はグローバル経済に対応するため、合理化に走った。中高年社員のリストラを進め、人材を派遣やパートのような労働力で補った。人件費が安い中国の経済発展で、より低コスト意識が強くなったことも大きい。規制緩和の影響もあり、非正規社員は労働者全体の3分の1に当たる1700万人にまで増加した。
 景気に関係なく、企業は繁忙期に多くの従業員を雇い、仕事が少ないと余剰人員をカットする。その調整弁の役割を、非正規社員は背負わされている。企業の意向一つで失業し、生活が不安定になる。失業と同時に住まいを失う人も珍しくない。人をモノとして扱う企業の姿勢が、労働者の生存権をも危うくしている。
 企業の論理からすれば、商品が売れなくなった時に、大量の在庫を抱えないよう生産調整を行い、余剰人員を削減するのは当然かもしれない。
 正社員が多かった時代は、給料カットや株主への配当金の引き下げなどで乗り切ってきた。いまは非正規社員の解雇で調整が利く。固定経費だった人件費は、流動的な費用になっている。
 だが、目先の利益を確保することが、本当に企業の発展につながるのか。解雇された労働者は収入が断たれ、物を買わなくなる。企業の業績向上に不可欠な消費も冷え込む。結局、購買力を確保するには雇用を守るしかない。企業には先を見据えた対応を心がけてもらいたい。
 失業者に対するセーフティーネットの構築には、膨大な資金がいる。大企業は雇用を守ることで、自らの社会的責任を果たすべきだ。失業者を生むことは反社会的な行為と考えてほしい。
 失業者を臨時職員で採用する自治体も出始めた。大量の失業者が出ることは、大災害と同じだという心づもりで、支援策を拡充する必要がある。失業者一人一人が「被災者」という考えで取り組みを進めてもらいたい。
 ◇セーフティーネットを−−弁護士・中野麻美さん(57)
 政府は近年、民間活力を導入すれば雇用や福祉の向上にもつながるとして規制緩和を進めてきたが、それが裏目に出ている。派遣など非正規で働く人を中心に失業が続出し、今は最初の小爆発に過ぎないのではないか。生活を保障したり、次の職につなげるセーフティーネットが必要なのに、ほとんど整備されていない。

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12月28日(日)
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