ID:22831
『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ FRBがAIGに850億ドルの融資枠
 「緊急かつ切迫した状況に限り、ノンバンク(銀行ではない金融会社)への貸し出しを認める」。保険会社の監督権限は州政府にあり、本来管轄外のAIGへの異例の大型融資は連邦準備法第13条のこの条文を根拠に行われる。これは、3月に経営危機に陥った証券大手ベアー・スターンズに290億ドルの特別融資を実施した際の法的根拠でもある。なぜ、リーマンには適用されなかったのか。
リーマンの経営危機は数カ月かけてゆっくりと進行しており、市場もリーマンも「悪化していく経営に対して対処できる時間的余裕があったはず」と金融当局者は語る。しかし、世界130カ国で業務を展開する巨大保険会社AIGが突然消滅した場合、すでに脆弱(ぜいじやく)な世界中の金融システムに予測不可能なインパクトを与える可能性があった。
 AIGは低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)関連商品を大量保有するばかりか、社債や住宅ローン関連証券の焦げ付きリスクを保証するデリバティブ(金融派生商品)取引「クレジット・デフォルト・スワップ」の主要プレーヤーでもある。破綻の衝撃がこうした複雑な取引を通じて、欧米、アジア市場にドミノ式に波及する光景が金融当局者らの目に映ったとしてもおかしくない。
 「リーマンの次」と市場の標的となったAIGは、資金繰り悪化による破綻を回避するため、FRBにつなぎ融資を要請する。ポールソン米財務長官はこの要請を突き放すが、FRBが有力金融機関に要請した最大750億ドルの融資枠設定が不調に終わってしまう。AIGの破綻が現実味を増してきたため、米政府として否定的だった公的資金による救済に追い込まれた格好だ。ポールソン米財務長官はAIGのウィルムスタッド会長兼最高経営責任者(CEO)に引責辞任を迫ったという。
 AIG救済で米国発の金融恐慌はひとまず食い止められた。しかし、サブプライム問題の底は見えない。リーマンとAIGの“線引き”に破綻予備軍は脅えているだろう。FRBのバーナンキ議長とポールソン米財務長官には「公的資金による救済基準の明確な説明責任が求められてくる」(ラインハート元FRB金融政策局長)。

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AIG救済:2日で方針転換 連鎖破綻の懸念強く
毎日新聞 2008年9月17日
 【ワシントン斉藤信宏】米連邦準備制度理事会(FRB)が16日、米保険大手AIGへの融資を実施して救済に乗り出した背景には、証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻(はたん)をきっかけに米金融業界で連鎖破綻への懸念が急速に強まっていたことがある。14日までのリーマン救済に向けた協議では、米財務省とFRBは強い姿勢で公的資金投入を拒んだが、予想をはるかに超える勢いで吹き荒れた市場による淘汰(とうた)の嵐を前に、世界的に見ても異例の「保険会社への特別融資」に踏み切らざるを得なくなった形だ。
 FRBは当初、AIGからのつなぎ融資の申請に対して、民間金融機関同士の融資で資金調達するよう促し、米証券大手ゴールドマン・サックスや金融大手JPモルガン・チェースにAIGへの融資を持ちかけた。ところが、市場環境の急激な悪化で金融機関の体力は急速に衰え、既に他の金融機関を支援するだけの余力はなくなっていた。逆に経営状態に自信のある金融機関でも「いつ市場の標的になってもおかしくない」(米エコノミスト)という状態に陥っていた。市場予想を大幅に上回る決算にもかかわらず、証券大手モルガン・スタンレーが決算発表を半日前倒しするなど、金融業界内には過剰とも言える危機感が広がっていた。
 米金融当局が公的資金の投入拒否を貫き、市場原理と民間支援に任せておくには、あまりにも環境が悪化し過ぎていた。しかもAIGは、企業の破産や債務不履行に伴う損失から投資家を守るための保険契約の一種であるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保証業務を手広く行っていた。このため万一、AIGが破綻すれば60兆ドル(約6300兆円)規模に膨らんだCDS市場が大混乱に陥る恐れもあった。

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09月17日(水)
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