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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ リーマンの破綻、どうなる米金融業界
 政府・日銀はリーマン・ブラザーズが手掛けていたデリバティブ取引の価格動向や、リスクプレミアムの拡大を通じた金融環境タイト化の可能性、世界経済への悪影響を通じて日本経済の回復シナリオが崩れないかどうかなどを注意深く点検していく方針だ。ただ、多くの市場関係者は政府・日銀とも海外発の信用不安に対して打つ手はなく、当面は流動性供給や総合経済対策の着実な実施など、できることは限られていると見ている。
 <日本の金融機関も期末に向け資金抱え込みか>
 リーマン・ブラザーズの経営破たんは、日本の金融市場にも影響を及ぼしている。16日の無担保コール市場では、金融機関が資金を抱え込む姿勢を強める中、朝方から外銀や証券会社などが日銀の誘導目標である0.5%を上回る水準で翌日物調達に動いた。
 日銀は朝方に白川方明総裁の談話を発表し、6月末以来となる即日の資金供給オペ1兆5000億円を通告。さらに国債補完供給の条件緩和を発表し、午後には1兆円の追加資金供給も実施し、今年3月末以来となる2兆5000億円の資金供給に踏み切った。市場の不安沈静化に向け、流動性供給を万全に行っていく姿勢を明確にしたかたちだ。
 ただ、日本の金融市場でも、期末に向けて資金を抱え込む動きが強まる可能性が大きい。これまで外国金融機関が円キャリー取引やサムライ債の発行などを通じてドル資金を調達していた動きに支障が出る可能性がある。
 また、リーマン・ブラザーズが扱っていた取引には、複雑な金融派生商品が多かっただけに、価格下落による損失確定にも時間がかかると見られ、当面市場の値動きが荒くなりそうだ。UBS証券株式本部/債券本部の金融担当アナリスト・大槻奈那氏は「信用収縮への警戒が急速に強まっている。リーマン・ブラザーズは積極的に証券化商品の組成などを手掛けてきた経緯があり、マーケット全体にどのくらの影響が出るのか見当がつかない」とみている。日銀も、こうしたリスクプレミアムの動きなどに警戒感をもって注視していくと見られる。
 <政府は様子見、経済対策の着実な実行が先決>
 一方、政府もリーマン・ブラザーズの経営破たんを受けて16日の閣議終了後、福田康夫首相の呼びかけで白川日銀総裁も加わった緊急の金融関係閣僚懇談会を開催。茂木敏充金融担当相によると、懇談会では福田首相からの指示により、出席者は「今後、いかなる事態になっても迅速に対応することで意見が一致した」という。
 関係閣僚らは、今回の事態に対して米当局と緊密に連絡を取り合っていることを強調したが「基本的には米国内の金融行政の問題。日本の金融機関、金融システムに不安はない」(伊吹文明財務相)との認識にとどまっている。
 企業融資においてクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)が担保機能を果たしてきたことを考えると、リーマンの破たんによりCDSのスプレッドが拡大し、米国では信用収縮と景気の悪化という負のスパイラルが拡大しかねない。米経済の一段の悪化が世界経済を減速させ、ひいいては日本経済も影響を受ける可能性がある。
 与謝野馨経済財政担当相は「信用収縮が企業活動にじん大な影響を与える可能性がある」と警戒感を示すが、次期首相・総裁を決める自民党総裁選の真っ最中でもあり、政府が具体的な政策対応に動く気配は見えない。町村信孝官房長官は「追加対策は考えていない。総合経済対策を着実に実施し、中小企業に悪影響が出ないよう注意することが必要」(町村信孝官房長官)とし、総合経済対策に伴う08年度補正予算の早期成立が重要との考えだ。
 16日の日経平均が600円を超える下げとなったことや、ドル安/円高が進行している金融・資本市場の状況についても「全体的な為替・株式市場の動きを見ると、危機やパニックという動きではない」(伊吹財務相)と受けとめている。
 与謝野担当相は「不自然な為替レートの変動や日本経済のファンダメンタルズが全く考慮されない変動にどう対応するかは、それが起きた段階で考えなければならない課題」(与謝野担当相)と述べ、今後の市場動向次第では為替介入も検討課題になるとの見方を示したと見られるが、16日の閣僚懇談会で為替についての議論は一切なかったという。

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09月16日(火)
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