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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■サブプライム住宅ローン損失額1500億ドル (約17兆円)
FRBのカジ取りは微妙だ。9、10月と連続利下げしたが、肝心の証券化市場の機能は回復せず、住宅市場の冷え込みは続く。金融市場は、いずれFRBが追加利下げを余儀なくされると読んでいる。そんな中でこれまで潤沢な外貨準備の多くをドル資産で運用してきた中国や産油国がドル離れを起こせば、ドル不安と呼ぶべき状態にも陥りかねない。
ドル離れしつつある投資資金は商品などに流れ、原油相場は1バレル100ドルに近づいている。エネルギーや食料などの高騰がインフレ懸念に火をつけるようだと、FRBの政策運営はいよいよ難しくなる。日本は政策面で打つ手が乏しいうえに、影響だけは確実に及んでくる。主要国のなかでも低迷が目立つ日本の株価は一連のリスクの警戒信号である。
サブプライム危機の再燃
2007年11月13日 田中 宇
今年7−8月に発生した「サブプライム住宅ローン債券」をめぐるアメリカ発の国際金融危機は、その後、米金融当局による利下げや、金融市場への資金投入などによって、危機の拡大にある程度の歯止めがかけられた。だが、最近になって、再び危機が拡大する流れになっている。サブプライム債券をめぐる状況を悪化させているのは「格付け」である。
サブプライム債券(CDO、ABCP)は、無数の住宅ローン債権を一つに束ね、それをリスクの高さごとに輪切りにして、別々の債券として売っている。利回りが高い債券ほど、ローンを払えない人が増えた場合に被る損失が大きくなるように設定されている。全体としてサブプライム債券の種類は膨大なものになり、最初に金融機関から投資家に販売された後、転売(流通)されていかないものが多い。転売されないと、債券の市場価格が定まらない。毎日売買されている債券には、その日の時価がつくが、売買されない債券には時価がつかない。
債券に価格がつきくくても、金融機関は節目ごとに資産の何らかの時価を算出し、自社の損益を計算せねばならない。サブプライム債券の多くは、時価はつかないものの、信用格付け機関による格付けの対象になっている。そこで各金融機関は、自社が持っているサブプライム債券について、格付けを係数として利用した計算式を作り、時価に代わる「推定価格」(理論値)を算出している。格付けが下がれば、債券価格も下がったとみなされる。(関連記事)
今夏の金融危機に際し、信用格付け機関は、サブプライム債券の中で明確に状況が変化したもの以外は、格付けの見直し(格下げ)を行わなかった。金融危機が短期間に終わるかもしれなかったからである。格付けが大して見直されなかったため、多くの金融機関の債券の推定価格も下がらなかった。
しかしその後、サブプライム債券の裏づけとなっているサブプライム(信用度の比較的低い借り手)の住宅ローンに関し、金利が上がって月々のローン返済ができなくなる人が増加し続けている。アメリカの政界やマスコミでは「サブプライム債券の危機の元凶は、信用格付け機関が甘い格付けをやったことだ」という批判が頻発し、格付け機関に圧力がかかった。信用格付け機関は、今夏の危機から3カ月(四半期)が過ぎた10月の時点で、相次いで大規模なサブプライム債券の格付け見直しを開始した。
10月19日には、大手格付け機関のスタンダード&プアーズ(S&P)が1413種類、220億ドル分のサブプライム債券を格下げした。11月に入ると、ムーディーズなど他の格付け機関も、10月からサブプライム債券の格下げを開始していると、相次いで発表した。格付けが下がると、各金融機関が計算している債券の推定価格も下がり、不良債権として損失を計上することが必要となる。(関連記事)
▼価格メカニズムの崩壊
加えて、今夏の危機以来、投資家やマスコミの間に「サブプライム債券に対する金融機関の推定価格の計算式は、妥当なものなのか」という疑心暗鬼が広がっている。各金融機関は、それぞれが適切だと考える計算式を使って、サブプライム債券や、その他の取引頻度の低い高リスク債券の推定価格を出している。
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11月18日(日)
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