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つらつらきまま
by seri
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■それぞれの「私の英雄(ヒーロー)」
鶴瓶さんの落語会が近づくと、北村薫の「円紫さんと私」シリーズを読み返す。
鶴瓶さんの落語会に行き始めた頃によく読んでいたということもあるが、主人公である「私」の春桜亭円紫さんに対するファン心の描写に共感することが多いからである。
>私が円紫さんを好きなのは、聞いていると本当に心が休まるからである。いたわり、という言葉に最も近い暖かさが高座から伝わって来る。居心地のいい落語なのである。(「空飛ぶ馬」P32」)
>(円紫さんから独演会全集の第一巻をお送りしましょうかといわれて)「いえ、買います買います。買わせて下さい」私は中学生の頃から円紫さんの芸が好きなのである。好きだから買うのだ。(「夜の蝉」P84)
“居心地のいい落語”、“好きだから買う”の部分は、読みながら(あぁ、分かる、分かる!)と心中頷いた。
その“居心地のいい落語”を聞きに新宿サザンシアターへ行って来た。
キノチケットに並んで買った柳亭市馬さんがゲストの回だ。
前から3列目という非常に好位置で、大銀座落語祭以来の鶴瓶さんの落語を聞けるこの幸福。
開演までパンフレットにある寄稿者の鶴瓶さん評を(そう、そう、その通り!良いぞ、○○○太郎(敬称略)!)と大共感しながらうっとり読む。
(あぁ〜、もう少しで鶴瓶さんの落語会が始まる〜!)と、遠足前の子供みたいにわくわくした。
そうして始まった「笑福亭鶴瓶落語会」。
この部の日替わりネタは「回覧板」。
ゲストの市馬師は「片棒」だった。
オープニングの鶴瓶噺で、昼の部はこの落語会のどこかの日でネタ卸しをすると決めていた「琵琶を弾く観音像」をやった、と聞き、(うわぁ〜、昼のお客さん、羨ましい〜)と思ったが、落語会終了後、小堀ブログを見たら今日は昼夜見に来ていたことが分かり、(何〜っ!)と驚く。
「琵琶を弾く観音像」のエピソードは色んな番組で散々語られているし、落語形式ではなかったものは今年の世田谷パブリックシアター版・鶴瓶噺で聞いたとはいえ、落語として聞くとまた違う。
しかも、ネタ卸しなんて滅多に立ち会えるものではないので、イチ鶴瓶ファンとして、羨ましく思うと同時に(先を越された〜っ!)と何故か若干の悔しさも覚えた。
しかし、最近では珍しく1日に2記事ブログをアップしているところに、嬉しいテンションの高さが伝わって来るような気がした。
「円紫さんと私」シリーズ4作目の「六の宮の姫君」に、芥川龍之介が親友である菊池寛のことを「私の英雄(ヒーロー)」と評していた、というエピソードが載っていて、ここも好きな部分だ。
約2時間、客をめいっぱい笑わせてハケていく鶴瓶さんの後姿を見たら、そのフレーズが浮かんだ。
10月04日(土)
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