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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■肩がイタイ/映画『DOA』/『となり町戦争』/『魂萌え!』/マンガ『C.M.B.』第4巻(加藤元浩)
〔11日の続き〕

 映画『DOA/デッド・オア・アライブ』
 (監督:コーリー・ユン/脚本:J.F.ロートン、アダム&セス・グロス、グランツ・ヘンマン)

〔キャスト〕 かすみ:デヴォン青木/ティナ:ジェイミー・プレスリー/クリスティー:ホリー・ヴァランス/ハヤブサ:ケイン・コスギ/あやね:ナターシャ・マルテ/エレナ:サラ・カーター

〔ストーリー〕
> 人里離れた北海道の忍者村を去り、抜け忍として兄の行方を捜すかすみ。南シナ海でクルージングを楽しむ女子プロレス王者・ティナ。香港のホテルで警察に捕まりそうになるものの、警官隊を蹴散らして逃亡する強盗のクリスティー。
> そんな彼女たちに世界最強ファイターを決するトーナメント“デッド・オア・アライブ”への招待状が届く。3人を含めたファイターたちは飛行機で会場となる島ドアテク・アイランドへと向かうが……。

 オリジナルのテクモのゲームはまったくやったことがない。と言うか、格闘ゲームそのものに殆ど興味がないので、ストリートファイターとバーチャファイターの区別もつかない有様である。だから逆に「原作とのイメージの違い」などに惑わされることもなく、映画を楽しむことができた。

 冒頭、いきなり「日本・石狩山脈」とテロップが出て、どう見ても標高が1万メートルは越えているんじゃないかというチベットかヒマラヤかという山奥の修行場(一応、鳥居を立てているので日本だと言いはりたいらしい)で、和洋折衷の珍妙な衣装に身を包んだプリンセス・カスミとハヤブサが国を抜けるの抜けないのと英語で喋りだすのだから、このシークエンスだけでトンデモ映画であることは保証されたようなものである。
 まあ、ゲームそのものがもともとトンデモなんだろうけれど。
 字幕では「抜け忍」となっているのが原音だと「SHINOBI」で、ああ、あちらでは忍者は「NINJA」で、抜けたら「SHINOBI」になるのかと、解釈のズレに苦笑してしまうが、そんなのは序の口である。
 DOAに出ようってほどの腕前のかすみが盗賊に簡単に捕まったことがあったり(修行する以前とは思えない)、王女が抜け忍(忍びの里で「王女」って言い方もヘンだが)になって、このままじゃ跡継ぎがいなくなって大変だろうに、連れ戻すどころか殺人命令が出たり(出してるのは誰なんだよ)、それを追いかける女忍者あやねはどう見ても外人だったり(ノルウェーの人らしい)、デタラメ描写はとてもじゃないが書ききれない。

 もちろん時代考証とか文化考証をやろうなんて気が製作者たちにさらさらないってことは明白である。
 けれども、『パール・ハーバー』や『ラスト・サムライ』や『SAYURI』のデタラメぶりに腹は立っても、『DOA』に対しては笑って見ていられるのは、誰にでもこれが「おふざけ」であって、本物の日本を描いたものではないことが分かるからだ。
 A級・B級という映画の分け方は好きではないが、B級はB級に徹してこそ面白い。ストーリーも人間関係もテキトーで深みが全くないのが逆にいい。ゲームのキャラをとりあえず一通り出してはいるものの、トーナメントの途中、ヒトミとかゲンフーとか、いつ消えたのかよく分からないかわいそうなキャラも何人かいる。

 そこはまあご愛敬で、主要な三人のヒロイン、かすみとクリスティーとティナは全編アクションに継ぐアクションで、三人が協力してラスボスを倒しに行くようになる後半、ああ、これはバカ映画版『チャーリーズ・エンジェル』の路線を踏襲したいのだな、ということがはっきりしてくる。
 ビリングはティナが一番、ポスターはクリスティーが正面、物語の中心はかすみと、それぞれに配慮した扱いも心憎い。
 本家チャリエン同様、アメリカ人から見た東洋人の美人タイプって、こんなの? という疑問をかすみ役のデヴォン青木(お父さんは日本人だが、お母さんはドイツ系イギリス人だとか)に感じはするものの、三人ともスタイルは抜群で、鼻の下を長くしたい目的だけで見に行っても損はしないだろう。てゆーか、こういう映画に余計な期待をしてはいけない(笑)。


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02月12日(月)
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