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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■まだ今一乗らない日々/舞台『EDDIE』
日記を再開して、たくさんの人から激励の言葉を頂いている。
やたら来訪者だけは多い日記だが、Google検索で来られる方ばかりなので、熱心な読者の方などはいないだろうと思っていたので、ありがたい限りである。
辛辣な批評を希望する方が多いのは、「お前らそんなに悪口が好きか」と思わないでもないが、批評が厳しくなるか甘くなるかは、以前も「その時次第」だった。
「ミクシィ癖」がまだ残っている現在は、「甘さ」の方がやや勝りぎみなのは、多少はお許しいただきたいところである。
ましてや今は、ワークショップの余韻で、時々アタマがホワイトアウトしてるし(笑)。
舞台『EDDIE』(劇団ing)。
エディ・タウンゼントを描くのなら、もっと若いころを舞台にすべきではないか、と思った。
晩年は既に功成り名を遂げた後の、誰もがエディを愛していた時代、本人にとってはドラマらしいドラマのない、あえて悪い言い方をするなら、エディの病気以外には盛り上がりようのないころの物語である。
若き日の、「混血」と馬鹿にされつつも無敗を続けていたボクサー時代、トレーナーに転身して力道山に見出され、日本に渡り、初の世界チャンピオンを育て上げるまでの方が、波瀾万丈なことは間違いない。
あえてドラマとして完成形を目指すことを避けて、最晩年のころに視点を絞ったのは、単純に取材が及ばなかっただけなのだろうか。
おそらくはそうではなく、実際にエディに育てられたボクサーたちが一様に感じていた、エディの優しさ――それをこそ舞台化してほしい、という思いに答えたためであろう。
したがって、演劇としては必ずしも賞賛しがたい、ある種の「甘さ」が散見していても――それを直接的に批判することは、いささか憚れてしまうのである。
ボクシングシーンは、役者がみな実際にジムに通い続けただけあって見応えがある。
【STAFF】
作・演出 …………………… 藤井 任
音 響 …………………… 山北舞台音響/今西工/中西梢
照 明 …………………… 梶ライティングデザイン/…アルテ・シェーナ
【CAST】
エディ・タウンゼント …… 藤井つとむ
井岡弘樹 …………………… 黒川進一
津田会長 …………………… 鈴木正勝
タウンゼント百合子 ……… 美奈瀬 杏
小林誠一 …………………… 大仁田 寛
小野一郎 …………………… 程野岳彦
松本 直 …………………… 熊坂欣太郎
津田麻美 …………………… 野口賀代
仲井たけし ………………… 羽田野啓輔
白石知佳 …………………… 錦織 舞
【STORY】
世界の頂点を極めた英雄の影には、彼がいた。
敗北し、肩を落とす勇者の影にも、彼がいた。
ボクシングにすべてを捧げた男、エディ・タウンゼント(藤井つとむ)。
6人の世界チャンピオンを育てた名トレーナー。
ボクシングにより喜び、挫折を知り、ボクシングにより愛を伝えた伝説の男である。
「ここは、サムライのジムじゃないですよ。ボクサー、本当に泣きたい時、本当につらい時、そばにいてくれる人がほしいんだよ」
日系人のエディには、日本人のボクシングジムにある暗黙のルールが理解できなかった。
そんな彼の存在は、少しずつ周りの人間に影響を与え、その人柄と的確なコーチングには人々を呼び寄せる無言の力があった。
エディがその才能を高く評価し、親愛の情を込め「BOY」と呼ぶ青年井岡弘樹(黒川進一)。
今、井岡の初のチャンピオン防衛戦に向け、エディはコーチに明け暮れていた、その最中にエディは病に倒れる。
限界まで走り続けてきた彼の身体は、癌に蝕まれ、入院を余儀なくされる。
一方、世界戦を目前に控え、心の支えでもあったエディを失い、不安を隠せない井岡。その落胆ぶりは誰の目にも明らかだった。
そんな中、エディが井岡の次のチャンピオンだと期待していた青年、松本直(熊坂欣太郎)がジムに戻ってくる。
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11月20日(月)
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