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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■『イッセー尾形のつくり方2006in博多』ワークショップ」四日目/不幸なことが幸せ
 ワークショップ四日目。
 従来のワークショップなら、明日は本番、というところだから、今日は無理やりにでも本番の組み立てをしていかなければならないところだ。
 けれども今回は更にプラス四日間ある。森田さんにも余裕があるように見えるが、シロウトの集まりというのはその中にいてもやはり怖いと思う。今日明日でやっぱり全員が焦ってくるのではなかろうか。
 空模様も昨日までの雨こそ上がれ、どんよりと暗い。

 今日も1時間前に会場のイムズに到着。
 今日になって、イムズ前に今回の公演&ワークショップの大きな垂れ幕がかかっていることに気が付いて、写真を撮る。
 そのときに、「ワークショップ公演会場 イムズスタジオ」と書いているのを見て、「え? ホールじゃないの?」と焦る。
 お客さんが来ないという判断なんだろうかと不安になる(あとで森田清子さんに伺ったところ、「ちゃんとホールでやります」ということであった。単に練習箇所がスタジオだということだったらしい)。

 昨日はそれなりにうまくいった感じだが、今日はどうだか分からない。
 と言うか、そろそろ疲れが溜まり始めているので、自分でも集中力に欠け始めているのが分かるのだ。昨日まではそれほど感じていなかった眠気が昼間から自分を襲い、時折、ぼーっとして、はっと前を見直すということを繰り返している。
 これがただの中だるみで、再び盛り返して来るのならいいのだけれど。

 昼の部は、時間通りに集まってくるのは10人くらい。
 これがだんだんと増えていって、20人〜30人くらいになる。40人定員だから、これでも少ないくらいなのだが、毎日は来られない人もいらっしゃるので、一日に集まってくるのはこれくらいのものなのだろう。
四日目ともなると、人見知りの私であっても(笑)、初参加の人たちともだんだん仲良く口を利くようになってくる。
 若い女の子が何人か参加していたが、そのうち二人が高校三年生であることが分かった。
 「成績余裕ないんでー、本当はこんなことしてる場合じゃないんですけどー」などと明るく語っている。いやいや、世の中には受験より大切なことの方が圧倒的に多いのですよ。
 先月の北九州公演の時にもやはり高校生の女の子が参加していたが、担任が「学校の分化祭を優先しろ」と命令されて、泣く泣く諦めたそうだ。誰か一人のわがままを許したらクラス経営ができなくなる、という判断だろうが、つまらん判断である。
 今回の高校生は、二人とも参加できるということなので、ほっとする。
 しかしイマドキの高校生は私服を着ると本当に分からないね。若いことは若いのだが、二人とも大学生くらいかと思ったくらいに外見は大人びている。喋ってみると全然幼いので、精神的成長も必要だぞー、と思ってしまうのだが。


 今日は、円陣を組むこともあるが、昼、夜ともに「組み合わせ」が中心となる。

 「夫婦喧嘩ってね、どうでもいいことで喧嘩するじゃない。どうでもいいことで喧嘩できるってことは、本当は幸せなことなの。大きな不幸については会話ができないと思って。亭主が浮気してるとか、サラ金に借金があるとか、そういうのは大きな不幸なの。そういうのも混ぜていくけど、まずは『小さな不幸』を探ってみようよ。どうでもいいことを喋っているとね、自然にユーモアが生まれてくるから」
森田さんの指示どおりに各自が「ちょっとした不幸」を語り、演じていく。その間にも当然、ダメ出しが入る。
 「お母さんが痔」。これは「ちょっとした不幸」になる。
 「お母さんは自分が痔だってことを全然言わないでしょ? だからなぜか家の中でイライラしてる。理由が分からないから、そこから話が広がるの。これがちょっとした不幸なのね」

 いよいよ「組み合わせを決めていこう」と仰るが、森田さんが指示するのでなく、参加者に選ばせる。「ちゃんと話が続く組み合わせを選んでね」と言われるが、とっさのことで、誰と誰を前に出せばよいのか迷う人もいる。
話が弾む人もいれば、続かなくなる人もいる。

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11月12日(日)
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