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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■子役が大成するには/『諸怪志異(四)燕見鬼』(諸星大二郎)
 終戦60年スペシャルドラマとして制作された日本テレビ系列の『火垂るの墓』(2005年11月1日(火)21:00〜 23:55)、正直、見るかどうか悩んでいたのだけれども、キャスト表を見て、これはぜひとも見ねばならない、と決心した。いえいえ、松嶋菜々子目当てではありません(笑)。
 野坂昭如の原作小説や、高畑勲監督のアニメ版をご覧になった方ならばお分かりいただけると思うが、この物語のキモは二人の兄妹の「子役」の演技如何にかかっていると言っていい。ただ、名子役というのもそうそういるわけではないので、学芸会的な演技でお茶を濁されるんじゃないかなあという心配が子供を主役にしたドラマでは常にあるのだ。
 ところが、節子役が先日『ウルトラマンマックス』「第三番惑星の奇跡」でそれこそ奇跡のような名演を見せてくれた佐々木麻緒ちゃんだと知って、年甲斐もなく興奮してしまった。いえ、ヘンな意味ではありません(笑)。1999年6月1日生まれというから、まだ6歳、それであれだけ感情を抑制した演技ができていたとは驚異の才能だが、もしかしたら今度の『火垂るの墓』の演技次第では、日本のダコタ・ファニングになれると踏んでもいいんじゃないかと思っているのである。
 一応はタイトルロールの松嶋菜々子、ナメてかかってふやけた演技をしようものなら、麻緒ちゃんに「食われる」んじゃないかと思うが、私としてはぜひ麻緒ちゃんに「食って」ほしいと思う。いやさ、日本の社会ってのは子役に厳しいからね。ちょっと芽のある子役だと、仕事の上でもライバルから足を引っ張られるし、私生活でも親の過保護とか学校でのイジメとかストーカー被害に遭うとかで、せっかくの才能が潰されてしまうことが往々にしてある。杉田かおるにしろ安達祐実にしろ、そんな目にあってなお、しぶとく(笑)生き残ってきたのだ。麻緒ちゃんにもたとえ大人の社会のドロドロに巻き込まれようと、それを弾き飛ばすくらいの「逆境に負けない心」を持ってほしいのだ。
 6歳の子供にそういう「図太さ」を要求するのは酷かもしれないが、そうでなければ海千山千、魑魅魍魎が跳梁跋扈する芸能界で、決して生き残れはしない。「逆境すらも己の糧とする」という姿勢は、たとえ子役であろうと、「役者」である以上は身につけなければならない必須条件なのである。
 今回のドラマ出演をきっかけに、麻緒ちゃんにはぜひ何かの映画に出てほしい。日本の子役出身者は、なぜか「映画」では今ひとつ代表作を残せない感じがあるんだが、これも「子役は大成しない」というジンクスの原因の一つになっている。だから、もう五本も十本も映画に出ている神木隆之介君の後を、ぜひ追っていってほしいのである。
 ほい、そこのロリコン中年のオタクおじさんよ、少しばかり自分の欲望を抑制して、見た目の可愛さだけではない「役者」としての女の子を見る目を養ってみたらいかがかね。


 週明けで何か新しい検査結果でも出たかと、病院に父の見舞い。
 しげとの待ち合わせはいつもどおり博多駅でだが、紀伊国屋に寄って取り置きしてもらっておいたDVD『エマ』の3巻と4巻を買うので手間取り、時間に遅れる。と言ってもせいぜい2、3分なのだが、「遅い〜!」としげは頬をふくらませる。
 こんなふうにしげの機嫌が悪いのはたいてい空腹なせいなので、見舞いの前に食事に誘う。「何が食べたい?」と聞くと、開口一番、「豚カツ」。
 「じゃあ、天神コアの上でいいか? そこなら福家書店にも寄って行けるし」
 実を言うと、「いいか」と聞いてはいるが、そこ以外に天神に豚カツ屋があるかどうかよく知らないのである。最近は博多駅より南側の方が活動テリトリーが広くなってきているので、天神方面はすっかり地理不案内になりつつあるのだ。
 福家書店に入ると、カウンター横に、あさりよしとおさんの特集コーナーができている。見ると、今度の日曜日にサイン会が開かれるとか。『るくるく』5巻の発売記念だそうで、こりゃもう『元祖宇宙家族カールビンソン』以来のファンとしては、万難を排してでも参加せざるべけんや、である。

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10月24日(月)
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