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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■九州国立博物館、開館!
 昨晩、ようやく寝付けたと思ったら、真夜中にいきなりアタマにガツン、と衝撃を感じて飛び起きる。私はしげと父に挟まれて真ん中に寝ていたのだが、父が寝返りを打って、その時振り上げた拳骨で私の頭を殴ったのである。
 父と一緒に寝ることなんて滅多にないことなんで、こんなに寝相が悪いとは思わなかった。仕方なく、少し離れて寝よう、としげの方に体を寄せたら、今度はそっちの方からもガツン、とやられた。しげも寝相はかなり悪いのである。
 両方から殴られてはたまらない。仕方がないのでもう起きることにして、玄関先まで出て、本を読んで朝まで過ごす。起こされたのが午前三時なので、朝風呂が開く六時まで、三時間、ゆっくり本が読めた。……って、おりゃー、眠りたかったんだよ。

 朝風呂でようやく展望風呂もお湯が出ている。
 六時ジャストに入ったのに、一番風呂かと思ったらもう二人もどこぞの爺ちゃんが談笑していた。ものの五分もしないうちにドヤドヤとお客さんがやってくる。昨日はガラガラだったのにどうしたんだろうと思ったのだが、要するに、父と同じで、「酒飲んで寝る前に風呂に入っていた」のだろう。酒飲みの心理は分からない、というよりは温泉宿に泊まりに来て、全く飲まない私のような客の方が珍しいのだよね。
 父もやってきて、「早かったな」と言うので、「寝てないよ。夕べ、殴られて起こされたから」と言ったら、「誰にや?」なんて暢気なことを言ってくれる。これだからヨッパライはなあ。
 「しげは起きた?」
 「まだ寝とるぞ」
 しげも11時には寝てたはずだから、7時間は寝ている計算になるが、もちろんそんなのはしげにとっては「寝不足」なのである。けれど、今日行く予定の九州国立博物館は、今日が一般公開初日である。どれだけ人が集まるか見当がつかないので、早めに出かける予定なのだ。そろそろ起きてもらわなければ困る。
 ちょっと早めに風呂を切り上げて、部屋に戻る。布団をとっちらかしてカニみたいに足を広げてだらしなく寝ているしげの姿がそこにあったが、これを父に見られているのだよなあ。普通、そういうのが恥ずかしくて一番早く起きてもよさそうなものだが。

 ようやく起きた寝ぼけ眼のしげと父と、食堂で朝食。
 鮭の切り身、海苔、明太子、温泉卵、湯豆腐ほか。朝からお腹いっぱいである。
 給仕のおばさんから「今日は九国に行かれるんですか?」と聞かれたので、「ええ、そうです」と答えたら、フロントで前売券を売っている、と教えてくれた。「何百円か安くなるはずですよ」ということなので、出かける時に三人分買い求める。
 「先に前売り券を買っとけば、そんなに並ばないですむと思うよ」と言うと、父は「お前が聞いてくれてよかったな」と言って笑った。でも実は私の考えは、「現地に行って行列ができていて、「こんなに並んどうとなら、もう帰ろう」と父が言い出しやしないかと、それが心配だったからである。35年前、大阪万博で月の石を見られなかった時の恨みを私はまだ忘れてはいないのだ(笑)。


 フロントでは、駐車場の場所なども教えてもらった。九国の駐車場自体はバス専用で、一般の車は停められないそうだ。知らずに行ったら、門前払いを食らうところだった。まずは大宰府駅前の駐車場に停めて、それから参道を通って、天満宮を突っ切って、更に連絡トンネルを潜って行かなきゃならないらしい。駐車場からも20分かかるそうである。これは是が非でも参道でお客さんにオカネを落としていってもらおうって魂胆なんだろうか。
 7時45分に出発、10分ほどで大宰府駅に到着。それから九国までは確かに20分かかった。
 連絡トンネルってのも歩かなきゃならないのかと思ったのだが、これはエスカレーターと動く歩道で繋いでいた。三人で歩道に乗っていると、後ろから女の人が走ってきて、右側にいた父に向かって、「右側は空けておくものですよ!」と怒鳴った。父は一応避けはしたが、走って行った女の人の背中に「そんな決まりはないとですよ!」と怒鳴り返した。

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10月16日(日)
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