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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■舞台『イッセー尾形とフツーの人々 北九州編』第一日目
本当に初日が来てしまった。
よしひと嬢のお母さんに「頑張っておいで」と激励されて、小倉に出発。直行バスは8時42分発。これを過ぎると11時まで一本もないので(これが若松半島というやつである)、ちと早いがこれで行くしかない。
「リバーウォーク」には9時半に着く。リハーサルは11時からなので、北九州芸術劇場は、まだ開場もしていない。しばらく小倉城堀端の一階テラスのテーブルで、しげと二人、もう一度1時間ほど朝寝。
10時半に一番乗りで入場、ややあってやってきた相方と少し打ち合わせをする。
森田さんは時間ぴったりに登場、通し稽古の前に、一つ一つのスケッチにダメ出しをしていく。開演ギリギリまで粘るその姿勢には脱帽。私も当然、ダメ出しを食らう。森田さん、さすがに四時間近くぶっ通しで声を張り上げ椅子を叩いてきたので、疲れ果ててしまったのだろう、「イッセーさん、後、頼むよ」と言って、いったん裏手に引っ込む。
突然の「監督交代劇」であるが、おかげで私も直接、イッセーさんのご指導を受けることができた。イッセーさんの指導は森田さんのような「たくらみ」はなくてストレートだが、やはり面白くないものには面白くないとスバリと仰る。森田さんに比べて怖くないということは決してない。みんな、心臓のドキドキは治まる様子がない。
一時間ほど休憩して、森田監督が復帰。出掃けと、それぞれのシーンに合わせた効果音を出演者の声で表現する演出が示される。こういったアイデアの一つ一つに森田さんの非凡が光る。我々出演者は、やはり森田さんの演出がなければただの学芸会の集団でしかないことを痛感する。
そして、幕が上がる。舞台にひしめき合う七十人の我々。
観客の間に「おおおお!」とどよめきが走る。森田監督が「最初にお客さんを『こんなにたくさんの人が』とビックリさせたい」と仰ったことが見事に効を奏していた。
一日目の私の芝居はハッキリ言って大失敗だった。緊張のあまり、わめくことしかできていない。お客さんの反応も当然何もない。公演終了後、出演者一人一人に森田さんは明日へのダメ出しをするが、私にはもう何も言葉がなかった。何もないことが何よりも雄弁である。これで奮起しなければ、私はシロウトである以前にただのバカである。
今日は舞台では遊べなかった。明日は遊ぼう。そう決意する。
09月17日(土)
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