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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ヒビキヒビキヒビキ/『劇場版 仮面ライダーヒビキ(響鬼)と7人の戦鬼』
『仮面ライダー響鬼』三十之巻「鍛える予感」。
久方ぶりの井上敏樹脚本ということで、世間のオタクがこぞって不安感を表明していたが、見てみて、これまでのまったりした雰囲気とのあまりの変わりように驚きである。「こんなのヒビキじゃない!」って驚愕・呆然・絶叫・失神・失禁したオタクは全国で推定57,463人はいると思われる。早速カトウ君も過剰反応してた(笑)。あっちこっちのオタクサイトも、今日明日はさぞや喧しいことであろう。
私は井上敏樹にはそんなに反感は持ってなくて、『うる星やつら4 ラム・ザ・フォーエバー』のころからどっちかっって言うと「自分の勝手な思い入れだけで脚本書いてるみたいだけど、ああいうのもアリでいいんじゃない?」というスタンスだったので、今回も違和感はあったが、別に怒るほどのことはない。
まあねー、確かに新登場の桐矢京介(中村優一)って、金持ちで語学はできるわマンガは上手いわ(でも少女マンガ)、でもマザコンで運痴という弱点もあってって、まるで面堂終太郎みたいなやつで、こんな「いかにも」なキャラを脈絡もなく投入してくりゃ、ヒビキファンの反発・非難・憤慨・怨嗟・呪詛は必至だろう。
けれども、明日夢くんがヒビキの弟子になるためには、もちっと「後押し」してくれるキャラが必要になる。もちろん、これまでにも何度かそういう機会はあったものの、「たとえ鬼の弟子にならなくても、明日夢君が自分の道を一歩一歩進んで行くことを見守る」という立場をヒビキが取ったことによって、基本的には明日夢君は弟子になる必然性が失われてしまった。作品カラーもそのおかげでより「まったり感」が強まることになっている、というよりは、もうこれで「いつ最終回になっても構わない」状況ができあがってしまったのだ。まだ2クールも残っているというのに。
即ち『響鬼』はメインライターたちが意図したのかどうかは分からないが、「最終回用の台詞」をヒビキに語らせてしまったために、ドラマを放棄する結果になってしまっているのである。もしこれがメインライターたちの「失敗」であるとすれば、いささか強引な手段に出てでも、これまでの路線を壊す必然性が生じる。その意味では、井上敏樹の参入は決して間違いだとは言いきれない。あいつ以外に「終わっちゃった物語を再開させる」なんて力業&泥被りのできるやつがおるかいな。「『ヤマト』の続編作れ」と言われたようなもんだ。
明日夢君は前話までで、「自分の道」を確定させてしまっている。これを「崩す」ためには、「君って、つまらないやつだな」と決め付けるキャラが必要になったということである。生半可なキャラでは、ヒビキの薫陶を得た明日夢君の心は揺るがない。リアルに明日夢君の心を「崩す」のなら、「ヒビキよりも大人」なキャラを投入し、説得力のあるセリフを吐かせなければならなくなるが、それはヒビキを「小粒」に見せ、ヒビキと明日夢君の関係そのものを破壊しかねないのでできることではない。桐矢君のような、あくまで「明日夢君のライバル」に位置する人物が必要になるのである。
まあ、あんなエキセントリックなキャラの導入で明日夢君を動揺させるのは、強引過ぎて決して最善の策とは言えないのだが、仕方のない面はあったのだ。そもそも話を終わらせちゃった大石真司がよくないとも言えるのだし。
早い話が、「展開がどうにもモタモタしてるから、一気に行っちゃってくれ」という要請が、テレビ局か石森プロかから、東映スタッフに対してあったのではないかということなのだ。だって、そうとでも考えないと、いくらこれまで『ライダー』シリーズでの実績があるとは言え、2クール過ぎていきなりメインライター以外の脚本家をぶち込んでくる謂れがない。要するにテコ入れである。
穿った見方だが、もしかしたら大石真司は、井上敏樹の参入を知って、あえて29話までで「最終回」を書いてしまったのだろうか。ウラ事情は全く分からないので、このあたりのことは憶測でしかないのだが。
『響鬼』、結構人気出てると思ってたんだけど、視聴率あんましよくないんかな。『NEWTYPE』が月間視聴率を掲載しなくなったんで、そのへんのところがどうもよく分からんのだ。
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09月04日(日)
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