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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■復活のまつもと泉/DVD『クモ男の復讐』
映画『ノロイ』があまりにも面白かったので(冗談が嫌いな方にはお勧めしませんが)、関連サイトをあっちこっち回ってみる。
映画本編は登場人物もみんな「実在」ということになっているので、字幕に出てくるスタッフ名もカメラマンの「宮島なんたら」と構成監督の「小林雅文」だけである。松本まりかや高樹マリア、アンガールズ、飯島愛、荒俣宏、ダンカンといった実在人物のあいまに堂々と架空の「矢野加奈(超能力少女)」とか「堀光男(霊能力者)」という名前を紛れ込ませているから、スタッフもなかなか性質(たち)が悪い(笑)。
もちろん、野暮なやからはいくらでもいて、「この人は○○○○という名前の役者さんだよ」と「真実」をバラしてしまっているのだが、言われてみゃ、あの映画に出てたあの人だったなあと納得はするのだが、あえて詮索するほどのことはあるまい。
洋画の場合、役者やスタッフの名前は権利上、明記されなければならなくなっているから、「ノロイ」のような「イタズラ」はしにくい状況にあるが(この二十年ほどでラストのタイトルロールがやたら長くなっているのはそのためである)、日本はそのあたりのことがまだ曖昧なままなのだろう、まだもうしばらくは「小林雅文」は「小林雅文」のままでいられそうである。それでもいつかは削除されなければなるまいから、「小林雅文公式ホームページ」などのサイトを見ておくのは今しかチャンスはない。
小林雅文の日記などは2002年から2004年まで、三年分がアップされているのだが、一日一日の日記の分量はそれほど多くはなく、飛び飛びの更新なので読み通すのにそんなに困難はない。単に日々の出来事を書いているだけではなくて、「怪奇実話作家」としての小林雅文のスタンスなどもコラム的に書かれてある。
「『分からない』イコール『あると信じる』ではない。『分からない』から『あるかどうか知りたい』のだ」なんて記述もあるが、「小林雅文」を客観的かつ冷静な人物として仕立てようという判断が見て取れる。事件の取材者が霊能とか呪いなんてものを盲信するようなキャラクターであったら、物語が薄っぺらになってしまう。全編アンガールズにレポーターはさせられないってことだね(笑)。霊能の全くない一般人として設定したのも成功の要因だったなと思える。
テレビの『超能力捜査官』特番に対する批判などもなかなかのものだ。「行方不明の人物の消息を複数の超能力者が透視して、『すでに死んでいる』『まだ生きている』などと公の場で発言してしまうことだ。(中略)生死に関する透視結果を公の場で、とくにご家族に対しては知らせるべきではないだろう」なんて「常識的な判断」をしているあたり、「小林雅文」が上っ面のキャラではなくてまさしくその「人柄」までもが設定されていることに舌を巻く。これは即ち演劇における「裏の履歴書」というやつだ。「小林」の役者さん、こんなのまで読まされて役作りさせられたんだろうなあ。
川口浩が生涯「あの探検はヤラセだった」と口にしなかったように(インタビューで突っ込まれても「私は信念を持って探検しています」と言い張っていた)、小林雅文もまた、映画公開がすむまではその正体を一応は隠し続けるのだろう。役者さんやスタッフが納得してくれるのなら、このまま隠し続けてもいいと思うが。昨日の私の日記にも書いた通り、こういうオアソビは分かってるやつには分かっているのだから、わざわざスタッフの方からネタバラシされるのは野暮というものなのである。
日記の中で面白かったのは、現実の事件とリンクしている記述で、映画中でも紹介されていた、「新宿ロフトプラスワン」での「怪奇実話ナイト」、2003年の11月26日に行われたという設定になっていて、なんと日記にはロフトプラスワンのホームページにリンクまでされているのだが、実際にそこに行ってみると、当日行われていた本当のイベントは、『さかもと聖保presentsダイエットライブ!!』である(笑)。まあ、痩せる思いをする(するだけで実際には痩せない)っていう点で共通点はあるのかな。
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09月03日(土)
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