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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■オトナもコドモも/『彼氏彼女の事情』21巻(完結/津田雅美)
夏映画の興行収入予測が概ね出揃ったようで、1位は『スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐』で、最終的に110億円前後になりそうだとか。もっともこれは『エピソード1 ファントム・メナス』を上回るのはちょっと難しそうだということで、完結編だというのに客の伸びがイマイチだったのは、やはり1、2、3、通した映画の出来がまあアレだったせいがあるんじゃないのかな。
ノベライズ版を読んで、毎回思うことだけれど、『スター・ウォーズ』シリーズは小説の方がよっぽど人物描写が濃密でキャラクター心理が深く心に迫ってくるように感じてしまう。要するに映画の方は役者の演技力が不足しているということなのである。もちろんそれを引き出せない監督の演出力の方により問題があることは論を待たない。悪役好きの私としては、なんでドゥークー伯爵やパルパティーン評議委員長をあんな単細胞な深みのないキャラクター(あれじゃせいぜい中ボスレベルだ)に演出してくれたかと歯噛みする思いだ。無駄アクションシーンも退屈さを増すばかりだし、全シリーズを通して見られた殺陣がダース・モールとCGヨーダだけってのはあまりにレベルが低すぎるんだが、もともと殺陣の良し悪しなんて分かるわきゃねえアメ公に期待する方が間違いってことかね。
2位は『宇宙戦争』だが、1位に拮抗するほどの成績ではなく、60億円程度になりそうだと言う。『NEWTYPE』の今月号で、ゆうきまさみが本作を絶賛していたのだが、世間の悪評紛々たる状況を見て「オレの目はフシアナなのか!?」と頭を抱えていた。まあフシアナなんではないですかね(笑)。いや、最後にあっさり火星人(とは全く明記されてないがあえてそう書く)が細菌でやられちゃうのが拍子抜け、という批評については「原作がそうなんだから」という反論もあるようだが、アレは驕り高ぶった人間に対する文明批評としての寓意なんだからね。それを現代に生かすための工夫ができていないと言うか、原作の精神を全く正反対に演出しちゃってると言うか、その点でやっぱりマトモな評価は下せないんである。
ハリウッドの馬鹿映画が1位、2位だってのはまあしゃあないことではある。もともとヒットする映画の最大要素は、馬鹿馬鹿しさにあるからね。ただ、もいっちょ突き抜けてない中途半端さが見ていてどうにもイラつくんだけどさ。
3位は定番『ポケモン』の40億円、もちろん例年成績は落ち続けているのだけれど、それでもこれだけ稼いでいるというのはさすがだ。なかなかしげが付き合ってくれないのでテレビで後追いで見ることしかできないけれども、そこそこな出来ではある。アニメファンも中高生になるとこういう児童アニメを馬鹿にするようになっちゃうけど、そういう姿勢がアニメファンを視野狭窄に陥らせてる一因なんだよね。
4位は『電車男』で、これは夏映画というよりは春からのロングラン映画。オタクの初恋っていう「特殊性」(笑)を除けば中身は他愛無い恋愛モノなんだけれど、それが35億円まで行っちゃうんだから、日本人の潜在的な「癒されたい」願望はそんなに根深いものになっちゃったのかといささか情けなくはなるね。
5位は『亡国のイージス』で25〜30億円見当とか。渋い男臭い役者ばかりで、ミーハー人気はあまり望めない映画なので、これは純粋に作品内容の力だろう。枝葉末節の揚げ足取りや、原作との単純比較に過ぎない的外れな批判はあるけれども、夏映画では一番普通のエンタテインメントだった。
6位は『マダガスカル』、『星になった少年』が20〜25億円あたり。相変わらず動物モノは強いってことかな。でも私がランディに会えるのはこの分だとテレビになりそうである。
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08月23日(火)
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