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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■「優勝」の意味はどこに帰属するのか/『アニメーション監督 原恵一』(浜野保樹編)
何ヶ月前だったかねー、全世界の話題になってた「謎のピアノマン」。
まるで現代のカスパー・ハウザーのような騒ぎになってたけれども、案外つまんないオチが付いたようである。
イギリスのデイリー・ミラー紙によると、「ピアノマン」の正体はドイツ人の同性愛者で、パリで失業して、イギリスに来たのは自殺目的だったという。一言もしゃべらなかったのは医師らをかつぐための芝居だったとか。ピアノの絵を描いたのも「最初に思いついただけ」という、なんじゃそりゃ? な結末である。
つかさー、今更かもしれないけれど、記憶喪失の身元不明者って、そんなに話題にしなきゃならないことだったのかねえ。病気の人の人権侵害になる危険だってあったわけだし。身元確認のために情報公開したというのは分かるのだけれども、それにしても大々的に過ぎたように思うんである。発見されて報道されるまで、たいして間がなかったよね? その前に身元不明者の照会とか、警察に連絡するとか、そっちの方が先にやるべきことだったんじゃないのかな?
この事件が大仰になってしまったのは、やはり、本人の背景に「何かある」ことを期待した野次馬連中の「盛り上がり」の影響の方が大きかったんじゃないかなあ。でも、本当にピアノマンに公表しがたいような事情があったら、どうなっていたのだろう。カスパー・ハウザーの場合は、謎の死を遂げているのだよ。
穿った見方をしたがる世の雀たちは、この「オチ」にも何か陰謀があるのではないかと騒ぎ立てるのではないかと思うが、火のないところに煙を立てるようなマネは、いい加減でやめてほしいものである。それをあえてするのがマスコミだと言われればそれまでなんだけれどもね。
こないだ日記で、明徳義塾高校の甲子園大会出場辞退問題について「どうせほかの学校だって似たような不祥事があるんじゃないか」と書いたのだが、予想がドンピシャと当たったような出来事が。それもなんと優勝校である駒大苫小牧高校にである。
22日夜に、苫小牧高校で開かれた同校校長の会見によると、野球部の部長(27歳)が三年生の部員に、「態度が不真面目である」という理由で、二度にわたって暴力をふるったという。加害者である部長は、現在、謹慎処分中。
問題となるのは、被害者の保護者から学校に通報があったのが8月8日、甲子園大会の三日目だったのだが、その時点で苫小牧高校は高野連に事情の報告をしなかったということである。明徳義塾の事件が既に明るみになり、「学校の報告が遅延したこと」が問題視されている最中であるにもかかわらず、不祥事の発表を優勝決定後に伸ばしたということは、それだけ苫小牧高校の方がより「悪質」だったと考えざるを得ない。
多分、今回も、「優勝は取り消しになるのか、次の大会に出場はできるのかどうか」、この点が論議の対象になるとは思うが、恐らく、世論の多くは「努力してきた部員には関係がないのだから、優勝を取り消さないでほしい」と同情論が幅を利かせることになると思う。しかし果たしてそれは「正しい」判断だろうか?
まず、公表が遅れたということは、即ち学校が事件のもみ消しを図ったということである。即ち、この件がもしバレたなら、問題になるということを学校側はしっかりと自覚していたということなのだ。これだけでも苫小牧高校に同情してやらなきゃならない余地は全くない。
「問題なのは部長の方で、部員は無関係だから処分すべきではない」という意見は、筋が通っているように見えるが、ただの感情論で、冷静に教育の本義を考慮したものだとは言えない。問題が教育者である部長の方にあるのならばなおのこと、学校は、「生徒を監督する義務を負うものの責任として」、事後報告などという薄汚い行為をするべきではなかったのである。
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08月22日(月)
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