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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■終わらない歌を歌おう/映画『リンダ リンダ リンダ』
『仮面ライダー響鬼』二十八之巻 「絶えぬ悪意」。
こないだからチラッと出ていた和服姿の謎の男(村田充)と女(芦名星)、まあ童子と姫と同じ人が演じてるんだけれども、どうやらこちらが「ホンモノ」らしい。男も女も自分の声で喋ってたし。黒服に白服の「クグツ」(「傀儡」という意味かな)も同じ人だったから、つまりはこの二人が作り上げたクグツが更に魔化魍を作り出すというシステムになってねみたいね。このヒトたちは、先祖代々そういうことをやっとるんかねえ。それともこいつらはヒトではないのか、正体は武内宿禰か?(もちろん諸星大二郎のね)
今回、試験管の中に蜘蛛と液体を入れて「土蜘蛛」を作り出していたけれども、えーっと、この方式だと、ヤマアラシとかテングとかどうやって作ってるんだろうね? ドロタボウとか、元は何なんだよ。もちろんこういうツッコミは怒っているわけではないので誤解なきよう。
今週も勢地郎は出なかった。下條さん、ただの夏休みだよね?
夜、キャナルシティで映画『リンダ リンダ リンダ』。
ファンタジーやSFの好きな人の中には、リアルな物語、日常の物語を必要以上に毛嫌いしてしまう人がいる。曰く、「映画や小説の中でまで、現実を見ていたくない」。
その気持ちは痛いほどに伝わってくるのだが、完全に現実性を拒否した物語が面白いかというと、そうでもないからことは簡単ではない。徹頭徹尾「作りもの」だと、今度は荒唐無稽すぎて感情移入がしがたくなるものだからだ。リアル:ファンタジーの割合は、5:5から7:3くらいまでがちょうどよいように思う。
まあ、なんで、こんな話を前フリに置いたかというと、「文化祭前日に、突如バンドを組むことになった女子高生四人が、ブルーハーツをコピーして猛練習を始める」というストーリーが、粗筋だけはよく似た『スウィング・ガールズ』と違って、「適度に作りものめいたところの少ない」物語になっていたことに驚いたからだ。
説明するのが難しいのだが、「リアル」だということは、できるだけ虚構を排することである。しかし、虚構を排すれば、確かに現実的にはなるものの、物語としての面白さを減殺してしまうことだってある。実際、この映画は「ドラマチックな要素」を極力削除しているために、全体的なストーリーや個々の描写は、かなり「つまらない」のだ。では、この映画を私が「駄作」だと考えているかというと、決してそうではないので、話が難しくなるのである。日常的な退屈な描写が続くのに、少しも退屈ではないのだ。
似たようなことをしげも感じていたようで、見終わったあと、「つまんないけど面白い」と、なんじゃそりゃ?な説明をしていた。しげは以前見た鴻上尚史の舞台『リンダリンダ』に不満を持っていて、それとの比較も念頭にあったようである。
主人公の四人がバンドを組むようになったのは、全くの偶然である。
もともとは恵(香椎由宇)、凛子(三村恭代)、萠(湯川潮音)、望(関根史織)、響子(前田亜季)の五人がバンドを組んでオリジナルの曲で出場を予定していたのだが、ギターの萠が左手に怪我をして参加できなくなった。凛子がそこで代役を立てようとしたのだが、そこでその冷徹さに反発した恵との間で諍いが起こり、バンド自体が空中分解する。恵は、望と響子にそれでも出場すると言い張り、「ブルーハーツのコピーならあと三日でも何とかなる!」と、もう一人のメンバー・ボーカルを探し、練習を始めるのだ。
物語が転がり始める前のここまででも、この映画は数々の「リアル」を積み上げて構成されている。女の子同士が、この程度のつまんない理由で諍いを起こしてしまうこともそうなのだが、周囲の人間たちが(教師も含めて)彼女たちの関係修復に手をこまねいている、いや、手を出したがらないでいるその人と人との「距離感」がまずリアルだ。
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08月21日(日)
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