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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■いつでも危険と隣り合わせ/『沈夫人の料理人』3巻(深巳琳子)
 昨晩、家に帰る途中で福岡空港のそばを通っていたとき、カメラマンがやたら集まって、滑走路に向かってシャッターを切っていた。何やってんだろうと思っていたのだが、朝のニュースを見ると、一昨日、JALウェイズ機が離陸直後にエンジン部分で爆発を起こし、600個あまりの金属片を散らばらせていたのである。
 幸いにもすぐに着陸したので乗客に死傷者は出ずにすんだけれども、落下物に当たってやけどなどの軽傷を負った人はいたそうである。
 しかし、テレビの映像を見ると、エンジンはかなり火を噴いていて、全くこれでよく墜落しなかったものだと呆れるほどだ。怪我人ゼロっての、奇跡に近いんじゃないか。
 ところが国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会は、これを「航空事故とは見なさない」とし、調査官も派遣しないと決めたとか。さすがにこれには無能で知られる本県の麻生渡県知事も、現状を視察した後で「市街地の真ん中にある空港。重大な事故ではないとの考えは非常におかしい」と批判のコメントを出した。出したところで状況を改善できる力はないのだろうがね。
 実際、福岡空港くらい「市街地に近い」空港というのも全国でも珍しいらしい。しかし何も市街地の真ん中にわざわざ作ったわけではなくて、市街地が後からこの空港を取り囲んでしまったわけだが。もともとは終戦間際に軍用に作られ始めたのだが結局は間に合わず、米軍に摂取されて基地として整備され、そのあと返還されて空港として使用されるに至った、というのが時代を知る父の説明である。民間のことを考えていないのは初手からだったわけだね。
 今となっては、福岡空港は博多の町の再開発にとって(しなくていいとは思うが)目の上のタンコブになってしまっている。町が東に伸びるのをここで堰き止めてしまっているので、だからこそ今の福岡空港は潰して更地にしてしまって、交通と街の開発の邪魔にならない新宮沖とか雁ノ巣とかに新空港を作ってウォーターフロントに、なんて計画も何度となく俎上に上るわけだが、バブルがはじけちゃった後じゃあ、画餅どころか税金の無駄遣いで福岡経済の命取りにもなりかねないのである。こういう計画をポンと立てて進めちゃおうとするから麻生知事は評判悪いんだけどね。
 今回の事故で、福岡のテレビ各局は一様に何年か前のガルーダ機の墜落事故を思い出して「福岡空港の危険性」を訴えているのだが、実際、これまで民家への墜落事故などがなかったのが不思議なくらいである。
 そのことを考えれば、確かに「事故の原因究明」なんて悠長なことを言ってるんじゃなくて、今の空港を取っ払っちまった方が「危険のモト」自体が断てるわけだが、でもじゃあどこに新しく作ったらいいかって言うと、もう海を潰すか山を潰すしかないというところにまで来ているのである。そりゃ簡単に実現はできんわな。
 結局、こんな事故がどれだけ続出しようと、こんな空港のそばに住んでること自体、運命と思って我慢していくしかないってことなんだね。NHK料金が安くなるのだけはメリットだけど。


 夕方から父のマンションで送り火。
 五時の約束だったが、もちろん父は三時に電話を入れてきた。
 つか、マナーモードにしていたので気が付かなかったのだが、私の携帯を見てみると、既に二時に電話を入れてきていたのである。せっかちにもほどがあるってば。
 ちょうど外出中で寿司屋にいるというので、そこで合流する。昔なじみの寿司屋で、もちろん回転などではない。当然、ネタは時価だが、美味さは格段だ。トロの脂身が舌の熱でとろけて、口いっぱいに甘く広がるのがもう至福の味わいである。適当に握ってもらったけれども、あとで勘定を聞いて目の玉が飛び出た。
 「普通の寿司屋」ってのはやっぱり高級料理でさ、百円寿司って、ネタがよくないから当然なんだけれども、破格の安値なんだよねえ。

 マンションに着いて、一息つく。
 テレビを見ると、終戦記念日で(でも段々と「終戦の日」って呼び方をするようになったな)、また靖国参拝のニュースなど。
 私がしげを指して、「こいつ、よく僕に『進駐軍に会ったことある?』って聞くんよ。いったい何歳だと思ってるんかねえ」と言うと、父は「それはおれのことやな」と言って笑った。

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08月15日(月)
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