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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■おしまいはおしまい/DVD『ベルヴィル・ランデブー/老婦人とハト』
 『ゴジラ ファイナルウォーズ』のDVD発売記念イベントで、プロデューサーの富山省吾さんが、「ゴジラは最長ブランク9年で復活している。今度もそのくらいでよみがえる。新世代のスタッフで新しいゴジラの復活を待ちたい」と2013年ごろに復活させる意向を語ったそうな。
 「ファイナルってウソじゃん!」と怒っているゴジラファンはもうそんなにはいないと思う。もう騙されるのは何度目だかわかんないくらいだしね。
 富山プロデューサーは『ファイナルウォーズ』公開直後から、「いつか復活」は明言していたから、今更驚きゃしないんだが、それにしても発表が早すぎる。言った舌の根も乾かぬうちに掌返すような態度に出るところが富山さんがファンから嫌われてるとこなんだけど、自覚はないのかね。
 以前、『VSデストロイア』でいったんシリーズに終止符を打ったときも「20世紀中の復活はない」と断言していたのだ。ところがわずか三年で『2000ミレニアム』を製作。けれど前VSシリーズほどにはヒットせず、その後遺症はミレニアムシリーズに最後まで付いて回ったという手痛い失敗があるのに、どうしてまあ、また同じ轍を踏もうとするのか、本気で理解に苦しむよ。
 ハッキリ言うが、ゴジラシリーズには既に往年の神通力はない。なんだかんだで初期のゴジラシリーズは映画が黄金時代だったころの産物である。昭和30年代、子供が楽しみに劇場に見に行くことのできた特撮モノと言えば、ゴジラ(と、他の東宝特撮シリーズ)しかなかったのだ。だから、その「名残り」でVSシリーズには初期ゴジラのファンだった親たちが子供を連れて劇場まで足を運んでくれた。
 けれども、ミレニアムシリーズのころの親たちは、昭和40年代、あるいは「9年間の空白期」のころに子供だった世代である。このころの子供たちにはゴジラ以外に熱中できる特撮モノがほかにもいくらでもある。別に「ゴジラ映画に行かなきゃならない」義務感などはないのだ。ましてや、更に2013年までゴジラ復活を待つということになれば、ゴジラを応援する世代は「VS」シリーズや「ミレニアム」シリーズで育った子供たちということになる。
 あの、どこからどう貶せばいいやら見当が付かぬほどフ抜けたテイタラクの両シリーズに、誰がどれだけの思い入れを持つことができるというのだろう。いくつか部分的に見るべきものはあったとしても、もはやゴジラは特撮の王道ではなく、たくさんある特撮モノの一つでしかない。たとえ10年経とうが20年経とうが、一般人はおろか、特撮オタクの間でも、「ゴジラ復活? へーえ」程度の反応で終わりそうな気がしてならないのだ。
 私だって、決して初代ゴジラからリアルタイムで付き合って来た世代ではない。ゴジラよりもガメラに入れ込んでいた世代であることは明言しておかねばならない。しかしそんな私でも、「ガメラのライバルであったゴジラ」が惨めな末路を迎える姿は、見たくもないのだ。若い連中がゴジラになんて興味ないという態度を取られるのが寂しくて仕方がないのだ。
 観客動員数が落ちている以上、「飢餓感をあおって客を寄せる」という手を打とうという目論見は分からないでもない。けれども現実にそれが成功した例はそんなに多くはない。それに、新世代のクリエイターによる新しいゴジラをったって、それをやろうとして失敗したのがUS版『GODZILLA』ではなかったのか。東宝は単にバクチを打とうとしているだけじゃないのか。
 「ファイナル」だと言ったのなら、その言葉を守って、潔くゴジラは過去の歴史の中に輝く存在のままでいてほしい(つかもうかなり薄汚れてしまったが)。万人を満足させるゴジラ映画なんて、もう作りようがないのだから。
 ……でも、それでも「一縷の望み」を期待してしまう自分が一番切ない。これがオタクの性(さが)ってことなのかねえ。

 
 しげの情緒不安定、まだ何となく緩やかに続く。

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08月09日(火)
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