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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■12万ヒット!/『コミックマスターJ(ジェイ)』12巻(田畑由秋・余湖裕輝)
(昨日の続き)
磨子はとんでもない跳躍力で、塀を乗り越え、疾風のように走る。目指すは垂水家の人々を殺した村の若者たちだ。殺戮! 炎上し、川に突っ込む若者たちのバイク。けたたましく笑う磨子! 美少女をこんな風にしちゃうなんて、伊藤俊也、あんたはサドか!
そして、最後には竜次も狙う磨子。「村から出て行け!」と叫ぶ磨子に、「かわいい磨子を元に戻すまでは出て行くものか!」と応酬する竜次。いきなり「かわいい磨子」なんて、このときの竜次は完璧にロリコンだ。グラマー(泉じゅん)にスレンダー(山内恵美子)にロリータ(長谷川真砂美)って、好みの幅が広すぎるぞ大和田伸也。
「出ていかないなら殺してやる!」と叫ぶ磨子。確かに最初に祠を壊した責任はあるけれど、そのあとは垂水家の人たちを守ろうとしたんだし、犬神が竜次を殺す理由はないように思うんだが。
と思っていたら、麗子の顔が磨子の背後からにゅっと現れ(二人羽織だったのか!)、「やっぱりあなたは私を裏切って、かおりと!」と呪いの言葉を吐く。もう登場しないと思っていた泉じゅんのびっくりの再登場。
そうかそうか、最終的な呪いの正体はやっぱり麗子だったのか、と思っていたら、竜次に飛びついて背後から首を絞める磨子の足には、びっしりとスネ毛が! おおおおお、『おとこ足の少女』! 好美のぼるへのオマージュか!(どっちが先なのか、よく知らないのだが)。ということはやはり犬神も磨子にとり憑いているのか? しげは「室田日出男の足!」と言うが、もしそうならこいつは泉じゅん+長谷川真砂美+室田日出男のキメラである。別の意味で怖いぞ。
ああ、結局諸悪の根源は誰なんだよう! と悩んでいたら、竜次が「一番悪いのは俺だ!」……はあ、さいざんすか。
死闘の末、竜次は「かわいい磨子に戻ってくれ!」(この間竜次はずっと「かわいい磨子」を連発するのである。このロリコンめ)と磨子の首を締める。ぐったりとなった磨子の顔はもとの磨子の顔にもどっていたが、ハッとして磨子の心臓の鼓動を確かめた竜次は血相を変える。磨子が死んでしまった! 失意のあまり井戸の中へ飛びこむ竜次。その時、飛沫がほとばしって、磨子の顔へかかる。磨子は息を吹き返した!(さっき、心臓を確かめたのはどうなったんだ?)
葬式の行列が進む中、一族の中、ただ一人生き残った磨子は、葬列を離れ、竜次が荼毘に付されている棺桶のそばに駆け寄る。ところが竜次は生きていた! 棺桶を破り飛び出す竜次。しかし、火の勢いは強く、竜次はやっぱり焼け死んでしまうのだった。
……どういう終わり方だ、これ。
伊藤俊也監督、他の作品を見ていくと『誘拐報道』『白蛇抄』『風の又三郎 ガラスのマント』『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』など、まあ傑作とは言わないまでも決して駄作ばかり撮ってたわけではない監督だと思うのだが、この『犬神の悪霊(たたり)』のときはどうしちゃったものか。いったい何がやりたいのかがまるでわからない。因習に対して批判したいのなら、犬神憑き自体を否定しなきゃならんと思うのだが、やっぱり最後はオカルトで終わるしなあ。ともかく次にどんな展開が来るのかが全く読めない。読めるかこんなの。世にカルト映画は数あれど、やはり「伝説」となるためにはちょっとばかりおかしいところがある、程度ではダメで、これくらいぶっ飛んでなきゃ面白くない。橋本忍監督の『幻の湖』もかなりキテる映画ではあったが、あれはまあ、放送できる分だけ「無難」ではある。『犬神の悪霊(たたり)』は、こうした上映会の機会がなきゃ、まず目にすることは不可能だ。
“こういう映画”がお好きな方、映画情報誌とかで、上映の告知を知った際には、未見であればぜひ目にされることをお勧めする。だからまあ、ネタバレを覚悟でかなり詳しく筋を書いた。いや、ちょっと筋を書いたくらいでは、この映画のものすごさはとても表現しきれないのだ。……でも、ごく普通の映画ファンには絶対勧めませんよ。『タイタニック』とか好きな人には縁のない映画です。
父のマンションに帰って、DVD『釣りバカ日誌2』を見る。父はもう眠っていた。
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05月04日(水)
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