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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■彼女がウェディング・ドレスに着替えたら/映画『犬神の悪霊(たたり)』
女優の原田知世と、イラストレーターのエドツワキとが結婚。
記事の一つには、「“時をかける少女”が公開から22年の時を経て、ついにお嫁さんになった」とあって、つまりデビュー後どんなにたくさんの映画に出ても、やっぱり『時をかける少女』のイメージでしか見られていないのだなあと、ちょっと悲しくなった。“時をかける奥さま”なんて惹句まであったが、何なんだいったい。下手なパロディマンガのタイトルにでもありそうな。
映画『時をかける少女』には、公開当時、思いきりハマッちゃって「原田知世はいい!」と力コブ作って叫んだ人たちがたくさんいるのだが、私もその一人である。しかし、同時に大林宣彦のクサい演出に失笑した人だっていて、単純にあの映画を「傑作」と断言するのははばかられる。
しかし、何にせよ「印象の強さ」では、他の原田知世出演映画は遠く及ばない。「芳山和子=原田知世」というイメージがラベンダーの香りとともに(笑)刷り込まれてしまっている人も私の世代には多かろうと思う。イマドキの「萌え」少年たちを笑えないのである(もっとも我々は本気で原田知世に「燃え」ていたのであって、「萌え」なんて軟弱な表現は絶対にしたくないのだ)。
しかし、入れこんだファンがやたらいるってことは、原田知世に『時かけ』の「色」をべったりと付けてしまったことになる。それは、原田知世が役者として大成するに際して、半端ではない障碍として働いたのではないか。角川三人娘のほかの二人、薬師丸ひろ子、渡辺典子に比べると、原田知世の出演作は、映画、ドラマともにやや少ない。
ところがそれが、今年から来年にかけて彼女は、『村の写真集』(三原光尋監督・4月公開)、『姑獲鳥の夏』(実相寺昭雄監督・7月公開)『サヨナラCOLOR』(竹中直人監督・8月公開)『大停電の夜に』(源孝志監督・2005年冬公開予定)と、立て続けに四本の映画に出演する。「いったいどうしちゃったんだ原田知世」感が強かったのだが、つまりは恋が彼女の身も心も充実させていたってことか。
まあ、私もオトナですから(笑)。「エドツワキ許さん!」とかトサカに来ることはないけれど、なんかアレですね、女優さんにハマッて、レコード、写真集まで買いまくったっていう経験は、私にとっては薬師丸ひろ子と原田知世が最後なんで、なんかついに青春は終わったなあ、という感じですね(実はその後もあるのだが、まあ、この二人ほどの入れ込みではない)。
歌手としての原田知世についてもヒトコト。
誰もが原田知世の代表曲を『時をかける少女』だと言うだろうが、私ゃやっぱりデビュー曲である『悲しいくらいほんとの話』(テレビ版『セーラー服と機関銃』主題歌)を推したい。デビュー作にこそ、その新人のオリジナルな輝きが横溢していると思うからである。
ついでに言えば、原田知世のデビュー映画も『時をかける少女』じゃなくて、『幻魔大戦』だからな。
夜、シネ・リーブル博多駅で、『カルト渦巻地獄劇場』、第二弾は1977年製作、伊藤俊也監督の『犬神の悪霊(たたり)』。
公開当時は市川崑監督の『犬神家の一族』がヒットした直後で、タイトルはそれに便乗しているが、中身はオカルト・ブームの延長線上にある。怨霊ものなら日本にも「犬神」があるぞ、という意気込みなんだろうが、当時の私にはいかにもな際物に興味がわかず、映画館まで足を運ぶことはしなかった。全く、こうも幻のカルト映画になると知っていれば、あの当時に見に行っとゃよかった。ただ、当時中学生だった私がこの映画の驚くべき展開を楽しめるだけの「度量」があったかどうかは疑問だが。
現在、テレビ放送は自主規制され、ソフト化されないままであるのは、作中の精神異常者の描き方に原因があるのだろうと察しは付く。
確かにムチャクチャな描き方ではあるのだが、これはあまりにムチャクチャ過ぎて、殆ど意味不明の域にまで達しているので、これは逆に精神異常者への偏見など生じ得ないのではなかろうか(笑)。「こんな既知外はいねえ」って誰だって思うよ。いやもう、ある意味これ、『恐怖奇形人間』よりもトンデモな映画なんスから。
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05月03日(火)
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