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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ 明日、あなたも刺されているかもしれません/『戦後最大の歌姫伝説 美空ひばり今年17回忌 今甦る愛・幻の絶唱』
 今年は2月、6月と、芝居を見に上京する予定を立てたので、例年ゴールデンウィークに観劇しているシティボーイズのライブは諦めようかと考えていた。なんたって、連休中は飛行機代がめちゃくちゃかかるのである。超割り、特割りに比べて2倍、しげと二人だから、出かけて1泊するだけで一気に七、八万円がすっ飛ぶのである。とても毎月のように上京するわけにはいかない。
 ところが、ついこないだまではシティボーイズのファンサイトを覗いても何の情報も載っていなかったのに、いきなり九州公演が決まったというのだ。
 しげは「『ちけっとぴあ』とか『e+』のプレオーダーにもまだ何の情報も載ってない」と言うから、まさに急遽決定したものだろう。会場が北九州芸術劇場で、しかも平日のみの公演だから、偶然スケジュールが空いてるかどうかして、いっちょやってこましたろうか、ということになったのではなかろうか。
 福岡から北九州に行くのにだって、旅費はかかるのだが、たかだか往復二千円のことである。今や結構見応えのある芝居は、福岡よりも北九州で上演されることのほうが多いから、その程度の出費はもう計算のうちだ。なんたって、WOWOW放送開始から15年、上京して観劇するようになってからも4年になるのだ。毎回毎回、アンケートに「九州公演行って下さい」と書き続けてきた甲斐があった。なんかもー、マジで泣きたくなるくらいに嬉しいのである。
 でもなあ、まだチケット取れたわけじゃないんだよなあ。なんたって、即日完売の超人気ライブである。果たして発売日に取れるかどうか。また電話半日ずっとかけっぱなしということになりゃしないか、今から気もそぞろなのである。


 夜、『ブラック・ジャック』『名探偵コナン』『世界まる見え!』『キスイヤ!』と続けて見る。どれも気に入って見ている訳ではないのに、どうして毎週チャンネルを合わせてしまうのか自分でも謎なのであるが、それが人間の不思議というやつであろう。
 続く『スーパーテレビ特別版 戦後最大の歌姫伝説 美空ひばり今年17回忌 今甦る愛・幻の絶唱』。
 美空ひばりの養子(本当は甥)の加藤和也と、浜田光夫の娘さんとの結婚披露宴に絡めて、美空ひばりの軌跡をたどるもの。それにしてももう亡くなって17年になるんだなあ。美空ひばりを知らない若い人もいくらでもいる時代になっちゃったんだなあ。
 美空ひばりに関する番組はもういやというほど見てきていて、その神格化のされ具合が鼻につく部分もあって最近はあまり見ていない。これも「流れ」で偶然見ただけのことなのだが、まあやっぱり「美空ひばり伝説」を補強するものでしかなくて、その音楽性とか大衆性とかに本気でメスを入れようとしたものではない。本当はそれをちゃんとやらないと、美空ひばりを知らない若い人が見たときに「なんでこんなケバイおばちゃんの特集なんかやってんの?」って誤解を生むことになりかねないと思うのだが。
 従来の「ひばり」特番の何が鬱陶しかったかと言うと、関係者が口を揃えたように「歌が人生でしたね」と繰り返すインタビューばかりが延々流される点なのである。「一卵性親子」も「弟の事件」も表層的になぞるだけでは“にも関わらず、美空ひばりの歌や映画が庶民の心を掴んだのはなぜか”ということが一向に分からない。
 美空ひばりは、よく「昭和」を象徴する歌手として称えられるが、実際は「戦後」を象徴する歌手なのであり、「復興」のイメージと美空ひばりを切り離して語ることはできない。ハッキリ言った方がいいと思うが、昭和も40年代後半になれば、既に美空ひばりは大御所ではあっても「過去の人」であり、時代はフォークからニューミュージック、そしてアイドル全盛の時代へと移り変わっていっていた。美空ひばりが「スター」として時代と“寝ていた”時期は、戦後の20年ほどで終わっていたのである。だからこそ、NHKも「弟の事件」を理由に、彼女を『紅白歌合戦』から“降ろすことができた”のである。
 しかしだからと言って、美空ひばりの価値が貶められるわけではない。妙な神格化がかえって美空ひばりの真価を見誤らせる危険があるというだけで、彼女が大歌手であることは紛れもない事実である。

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02月14日(月)
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