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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■でかるちゃー!/『鬼平犯科帳スペシャル 山吹屋お勝』ほか
 仕事は午前中までで、午後から医者へ。
 職場までしげに車で迎えに来てもらうのはいつものことだが、時間が昼過ぎなので、来れるかどうか朝の段階で予め聞いていたのだが、しげの返事は「間に合わんかもしれん」。
 てっきり「昼間は寝てるから」という意味かと思ったらそうではなくて、午前中、「ダイヤモンドシティに行くから」とのこと。
 「何か買い物?」
 「うんにゃ。カルチャーセンターに通いたいと」
 思わずズッコケそうになったが、そう言えばこないだからどんな講座があって、これとこれとかやってみたいとか話してたのを思い出した。なんでズッコケそうになったかと言うと、しげの顔と「カルチャー」という言葉の間に、ギンヌンガガップほどの溝があるように感じたからである。
 このところのしげは、劇団の方がひと段落ついて、プレッシャーから解放されてホッとしている面もあるのだけれど、同時に「さて、これから何をしたらいいのだろう?」と途方に暮れたような精神状態に陥って、いささか心のバランスを崩してしまったような言動もないではなかったのである。だから、何かやりたいことがあるんだったら、そりゃええこっちゃと思って、「やればあ?」と甚だテキトーに返事していたのであった。
 そういう次第なので、何の講座を受講するのかも今朝まで覚えていなかったのだが、「で、何を習うの?」と聞いてみたら、「太極拳」と答えた。
 今度は聞いてもズッコケはしなかったが(とりあえず見学だけだと言うし)、「なんでまたいきなりそんなのを」と聞き正してみてもあまりはかばかしい返事は返ってきそうになかったので、ともかく、「終わって間に合うようだったら迎えに来てね」と答えておいた。
 ところが、迎えに来た車に乗り込んだ途端、しげは「入会、申しこんだけえ」。
 「……早いな。じゃあ、これから毎週通うのか」
 「うん、毎週火曜日。参加する人の都合で変わるときもあるらしいけど」
 「何人ぐらいおるん?」
 「3人」
 「……そりゃまた、えらい少ないな」
 「一ヶ月受けたらやめてく人も多いみたいよ。今残ってるのはずっと続けてる人みたい。家族だったら割り引きも効くって」
 「平日の昼間だってのに、オレが通えるわけないじゃん」
 「夜開いてる講座もあるけどね」
 しげはどうやら私にも何か一緒に通ってほしそうな様子である。かと言って、どんな講座があるのか、どれくらい時間を取られるのか、費用はいくらか、そんなことが一切分からない状態では何も返事のしようがない。
 「あと、舞台美術の講座があって、こっちはボインちゃん(細川嬢)誘ってみようと思うんだ。忙しくてムリかもしれないけど」
 細川嬢なら確かに興味を示しそうではあるが、なんだかしげ一人が興奮して突っ走ろうとしているように見えなくもない。ほかにもどんどん「巻き添え」が出なけりゃいいがねえ。


 診断の結果はポリープも良性で危険はないとのこと。
 ホッと一息はついたが、医者からは「年に1度は腸検診を受けることをお勧めします」と釘を刺される。ポリープができやすい体質ではあるから、という理由らしい。
 「ポリープが一つ見つかると、確実にほかの場所にもありますから」。……なんて言われちゃったけど、なんだかゴキブリが腸の中で繁殖しているみたいで、気分はあまりよくないのである。


 夜、7時からTNCで『鬼平犯科帳スペシャル 山吹屋お勝』。
 父親の墓参の帰り道に刺客・相川彦蔵(嶋田久作)に襲われた火盗改めの長谷川平蔵(中村吉右衛門)。平蔵の気迫に気圧された彦蔵はいったん姿をくらますが、それは平蔵に恨みを抱く盗賊、霧の七郎(平泉成)に雇われた男だった。
 三ヵ月後、従兄の三沢仙右衛門(橋爪功)と息子・初造(金田明夫)が、平蔵の役宅を訪れる。今度、仙右衛門が山吹屋という茶屋で働いている女中のお勝(床嶋佳子)を嫁に貰うというので、その品定めをしてほしいというのだ。平蔵は、同心・木村忠吾(尾美としのり)を連れて山吹屋を訪れるが、現れたお勝に忠吾も太鼓判を押す。

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02月08日(火)
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