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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■9年目のお小遣い。
午前中、仕事の真っ最中にしげからメールが来る。今日しげは、父と一緒に、母の遺産(つか、株券だけど)を売って、現金化して受け取る手続きをしに出かけていたのだが、なんか、銀行の通帳番号が必要だとか何とか言ってきたのだ。
とりあえず折り返し電話を入れてみたのだが、父の返事は「簡単に売ってもらえん」とかで、とんと様子が解らない。なんかもー、直接私が行って段取りつけないとカタがつかないみたいなので、仕事を早引けして、午後から天神に出る。証券会社に行って、担当に話を聞いてみると、要するに「株を売ってほしくない」から引き伸ばしにかかっていたのであった。
私は株には全く興味がない。父も同様で、賭け事の類が性に合わないのである。ところが母は生前は大の株好きで、私の給料を勝手に抜いては株を買うくらい熱中していたのだが(そのたびに怒ってたのだが、母は決してやめようとしなかった)、唐突に倒れて行っちゃったので、株券のありかなんかも分からなくなっていた。今度見つかったのは、私名義の株券で、結構いいとこのものがなんと1000株もあった。これが儲かっていたなら、今ごろ私は左団扇の生活ができるところだろうが(そこまでではないにしろ、半年くらいは無職で暮らせたろう)、残念ながらバブル崩壊前に購入したものである。今や私のひと月の給料よりも安くなってしまっている。母が亡くなった時点でも相当株化は下落していたろうから、その存在を私に言えなかったのも頷けるのである。もちろん、後生大事に取っておく気は全くないから、さっさと手続きをすませた。
父も、母が死んだ当初は「お母さんが好きだったから」とか何とかリクツをこねて、株券を手放さなかったのだが、もうこれが面白いくらいにどんどんどんどん損していくものだから、いい加減でようやく処分する気になったのである。父は「早いとこ売ってりゃ、こんなに損はしてなかった」としきりに残念がっいたが、だから人間、余計な欲なんてかくもんじゃないんである。
もっとも、母がこれを私への遺産としたいと考えていたことは間違いないだろう。そんなに早く行くつもりはなかったろうから、まとまった額になったら、生活の足しにしなさい、と言って渡すつもりだったのに違いないのである。その気持ちはもちろん嬉しいのだ。普通の親なら「貯金」に回すところを、そこで株を買っちゃうのが、「人生はバクチ」の母の性格を表しているようで、かえって微笑ましいくらいである。父の分も合わせると、損した分は家一軒が買えるほどであるが、借金を相続したわけではない。マイナス分も含めて、私は母の「気持ち」を相続したのだ。それは充分プラスと言うか、予想外のプレゼントであった。
母が「ゴメン」と謝ってる姿を想像すると、こりゃまあ、許さないわけにはいかないのである。
父とは大丸の京料理の店で食事をして別れる。時間の余裕があったので、映画に誘ったのだが、「もう、このトシになると映画館の中で寝るから」と断られた。「録ってるビデオも見んずく行くかなあ」と言うので、「録るのが楽しいっちゃけん、それでよかろうもん」と答える。引退が近くて、弱音発言が確かに多くなっている。けれど、江戸時代の髪結い床からの子孫を自負していて、心底仕事の虫だった母とは違って、父は結構遊び好きである。引退したからと言って、必ずしも気が抜けて何をしたらいいか分からない、ということにはならないだろう。盆休みには、ちょっと、近場で家族旅行でもしようか、と相談をする。
帰宅してからは、遅れてる日記を書いたり、本を読んだり。
マンガ、島本和彦『ゲキトウ』1巻。
小原愼司『二十面相の娘』3巻。
山本弘さんの『SF秘密基地』、久しぶりに見てみたら、なんかまたすごいトラブルになっている。……イヤね、もう1、2ヶ月に1回覗くか覗かないか、くらいのペースになっているのだけどね、『スチームボーイ』の感想、誰か書いてるかなあ、とふと気になって覗いてみたら、別のあるスレッドが、もうなんかすげえワヤクチャになってたんである。どうしてたまにしか覗かねえのに、そのとき必ずトラブルになっているのだろうね、あそこは(^_^;)。
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08月02日(月)
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