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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■あなたへ
ある知人に関すること。
その知り合いについての、基本的にはめでたい話を聞いたのだが、ちょっと素直にはお祝いを言えないような状況なのである。正直な話、その知り合いと言うのが、周囲からどのように見られているか、ということについて、あまりに無頓着であるからだ。
多分、本人は喜んでいるのだろうし、私もその人の判断や決意、行動を基本的には支持したい。したいのだが、それに必要な具体的な準備とか、なにより心構えとか、そういうものが全くできてはいないと思うのだ。これまで自分がどういう行動を取ってきたか、そのことでどれだけ他人に迷惑をかけ、心配されてきたか、そのことをいったいどれだけ自覚しているのだろう。しかも話によると、このままでは、さらに周囲に迷惑を拡大させていきかねない状況もあるのである。果たして脳天気に喜んでいていいものなのかどうか。
最近、その人とはすっかり疎遠になってしまっていて(私がその人を嫌っているわけではない)、この話も伝聞でしかないので、私の方から何かが言えることではない。その人が私に何も言ってこないのも、何かを言えば自分がたしなめられることを承知しているのであろう。あるいはそんな義理はないと、今はそう考えているのだろうか。見栄張りと言うか、根拠のないプライドだけは高い人だし、私ごときにたしなめられるというのは、本人にとってはどうにもガマンのできないことなのかもしれない。だからと言って、一度は縁があって、私の家にだって遊びに来たこともある人が、今、後先考えない行動を取っているというのは悲しくて仕方がない。
ベクトルは必ずしもプラス方向に向かっているとは限らない。本人は甘く見ているのかもしれないが、マイナス要因は既にある。そのことから目を背けているというのなら、カタストロフは必然となろう。本当にいいのか、それで。
……心配しているのは私ばかりではない。「あなた」を知る人はみな「どうかしてる」と思っているのだ。やるせない気持ちでいる人もいる。せめてそこでいったん立ちどまって、今、自分がいるところをもう一度確かめてみる心の冷静さだけでも持ってほしいのだ。
この日記をもしかして「あなた」は見ていないかもしれない。しかし、見ているかもしれないと思って、これを書いている。自分のことではないかと思ったら、今、本当に自分がしなければならないことが何かを、真剣に考えてほしい。なぜ、電話やメールで個人的にそのことを言わないかは、「あなた」にはきっとご承知頂けるだろう。
ああ、それからこの話を私が誰から聞いたのか、なんて余計な詮索はしないように。どこからでも話は伝わってくるから。それが「あなた」が本当はどう見られているか、ということの、なによりの証拠なのです。
台風は昨晩のうちに四国に上陸。九州は直撃ではないが暴風圏には入っている。とは言え、「ちょっとひどい雨」程度なので、今日の練習に支障は来さない。
そう思って、朝方しげは鴉丸嬢に連絡を入れていた。ところが会話の様子がなんだかヘンである。どうも鴉丸嬢は、今日の練習は台風で中止、と思っていたらしい。
「そんなに雨降ってないのにねえ?」とフシギがりながらも、鴉丸嬢を車で迎えに行く。ところが、山を一つ越えて、鴉丸嬢の住所の近くに来た途端、豪雨と暴風がドッと襲ってきたのだ。道が一部、川になっているところもある。
「何これ?」としげと二人で顔を見合わせた。どうやら、鴉丸嬢の家の近辺だけ、局地的な雨が降っているらしい。実際、鴉丸嬢を乗せて、今度は其ノ他君の家に回った途端、ウソのように空が晴れた。……雨の降ってる地域とそうでない地域の「切れ目」が、こうハッキリ分かれているというのもなかなか滅多に経験できることではない。
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08月01日(日)
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