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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■やっぱり「じゃないですか」はいやじゃないですか。
歯医者通い二日目。薬を詰めてフタをかぶせて一日経ったら取り、一日経ったら取り、の繰り返しだが、いったい治療に何日かかることやら。
昨日担当してくれたのは女医さんだったが、今日は若い男の先生。どうやらご夫婦で経営されているらしい。一応、カルテに眼を通してはいるのだろうが、椅子に座るなり、挨拶もなしに「はい、口を空けて」といきなり治療を始めたのには驚いた。愛想がないのは仕事に徹しているせいなのかもしれないけれど、「こんにちは、調子はいかがですか?」くらいは言ってほしいものである。
折れた歯の根元あたりをドリルか何かでチュインチュインと削られるが、痛みは全くない。薬はよく効いているようである。
治療が終わっても、先生はやっぱり挨拶なしで引っ込まれたので、どうしていいかわからず椅子に座っていると、看護師さんから、「終わりですよ」と言われた。次にいつ来ればいいのか、何の示唆もないので、「あのう、明日また来ればいいんでしょうか」と聞くと、いかにも当たり前、という口調で「そうですよ?」と返事されてしまった。いや、当たり前と言えば当たり前なんだろうけれど、それでも一応「明日また来てください」とか何とかいうのが普通なんじゃないだろうか。ちょっと通うのが不安になってくるのである。
病院が終わってしげに連絡を取るが、どうやら寝ているらしく、返事がない。
仕方なく帰りのバスに乗りかけたところで、電話がかかってきた。「今起きた〜」とふにゃふにゃな声。こうも予想通りたと、意外性がなくて面白味がない。
博多駅で待ち合わせて、夕食はレストランでハンバーグとか。いや、麻酔がちょっと効いてるのかもしれないが、何食ったかよく覚えてないのである(^_^;)。
文化庁の「国語に関する世論調査」の結果が本日発表。「檄(げき)を飛ばす」「姑息(こそく)な」「憮然(ぶぜん)とした」などの言葉について、約7割の人が本来と異なる意味で理解していることが判明。
こういう調査は、たいてい「誤用の多い語」を選んで調査しているので、結果が悪く出るのは当然なのである。だからこの結果のみをもってして、「近ごろの若い者は言葉を知らん」と嘆くのは即断に過ぎるのである。
第一この手の誤用は、若者だけじゃなくて、トシヨリにだっていくらでもいるんだから(^o^)。言葉の意味は時代の変遷に従って様々に変化するのは必然である。辞書引いたって、「【意味】〜、または〜」とか、「【意味】〜、転じて〜」とか、長い歴史の中で意味が一定ではなかったことを示しているものはたくさんあり、誤用の方が世間に浸透してしまって、本来の意味が失われてしまった場合だって、枚挙に暇がない。
シティボーイズのスケッチで、大竹まことが「『カンペキ』の『ペキ』って、『壁(カベ)』だよな?」と言うと、みんないっせいに「そうそうそう」と頷き、いとうせいこうだけが「カベじゃないですよ、下が『土』じゃなくて『玉』ですよ(璧)」と主張するのに、相手をしてもらえない、というギャグがあったが、気がついたら、正しいことを言ってるのは「あなただけかもしれません」という事態に陥っていることは容易に想像できるのである。
だから、正答も誤答もいっしょくた、というのでは意志の疎通ができなくて困る、なんとかして「正しい」日本語を浸透させないと、という主張をされる方の「焦り」も分からないではないのだが、だとしたらこんな大雑把な分析ではなくて、一つ一つの語について、この変化はなぜ起こったのか、それは本当に「ゆゆしき」事態なのか、許容されるべき変化なのか、詳細に検討を加えないことには、なかなか判断もつくまいと思うのである。
調査は、全国の十六歳以上の男女三千人を対象に、個別面接形式で行われている。
六つの慣用句について、それぞれ、本来の意味、それと違う意味を含む五つの選択肢から選んでもらう形だが、その選択肢の内訳は、「正答」、「誤答」が一つずつ、残りは「両方」「この二つ以外」「分からない」となっている。
《慣用句等の理解度》
(○は本来の意味、△は違う意味。数字は%)
「檄を飛ばす」
○自分の主張を広く知らせる 15
△元気のない人に刺激を与える74
「姑息」
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07月29日(木)
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