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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■だけーどボクにゃ前歯がないよ、虫歯の虫〜に食べられた♪
 昼間、突然しげからメールがある。ちょうど仕事の合間だったからよかったが、そろそろ『帰ってきたヨッパライ』をCメールの着メロにするのはやめようかと思う。
 内容は「今日、早く帰れない?」というもの。いきなりそんなことを言われても困るが、いったいどうしたのか聞き返してみると、「寂しいと」と一言。また持病の鬱が始まったらしい。とは言え、仕事がひと段落するには、もうしばらく時間がかかる。
 なんとか都合をつけて早引けすることにして、しげには「3時まで待て」とメールをする。ばたばたと仕事を片付けたのがちょうど3時。追い立てるようにしげから「今着いた」とのメール。駐車場に出てみると、待ち伏せていたようにしげの車が停まっている。
 車に乗りこんでも、しげは口を尖らせてモジモジしているばかりなので、「なんかあったのか?」と聞くが、はかばかしい返事をしない。いつものことだが、急にそんな気分になっただけらしい。「こういうのは困るぞ。しょっちゅう休むわけにはいかないし」と言うと、「わかっとう」と言って、涙目になる。これ以上は何か言っても無意味なので、ともかくどこかに食事に行くことにする。
 食事をする前に銀行に寄ってくれ、と頼んだら、ダイヤモンドシティまで連れて行かれた。「ここなら銀行も食事もいっぺんに行けるから」というのだが、あちこちうろつき回るだけで神経が疲れてしまうと言うのだから、かなり煮詰まっているのである。

 フタバ図書で、コミックスなど数冊を買う。
 しげはこないだ月嶋つぐみの『天使的探偵団』を読んで以来、「こいつらの人間関係はどうなってるんだ〜!」と喚いている。実はこの作品には『殺し屋田中一郎』という姉妹編があって、そちらとキャラクターの一部がリンクしているのである。『天使』を読んだだけではその人物相関図がよく分からないので、しげはあちこち本屋を回っては『田中一郎』シリーズを探していたのである。
 「そんなにこのマンガ面白かったか?」
 「うんにゃ。でもよくわかんないところがあると気になって仕方がないんだよう!」
 ……その反応は「鬱」というよりも「躁」なんじゃないのか(~_~;)。
 秋田書店のサスペリア・ミステリーを置いてある本屋自体少なくて、途方に暮れていたのだが、さすがフタバ図書、全6巻が見事に揃っていた。まあ、買いはしたけど、こういう買い方って、相当なムダガネ使いである。ケチなしげがそれでもほしがるのだから、やっぱりしげは今、躁状態にあるのである。

 ワーナーマイカルの前のフードコートで、食事。買ったばかりの『ガンダムエース』にかかっていたヒモを噛み切ろうとしたら、突然、歯が折れた。前から上顎の糸切り歯が虫歯になってはいたのだが、こんなに簡単に折れるとはなあ。よく見ると歯のウラにポッカリ穴が空いていて真っ黒。オモテからその「黒さ」が透けて見えるほどである。相当放置してたせいだろう、と言われそうだが、前にかかってた歯医者がヤブで、歯石を取ろうとして、歯の根元を削りすぎて折りかけたことがあるのだ。これはそのときの適当な治療が尾を引いているのだろう。
 痛みも特になかったのだが、しげの方が慌てふためいて奇声を上げる。
 「病院に行きぃ!」
 「そうだな、そのうち行くよ」
 「明日行きぃよ! 黴菌が入って死ぬよ!」
 その危険がないわけではなかろうが、それにしても慌てすぎである。なんでも、しげが学生のころ、本当に虫歯の毒が脳に回って死んだ先生がいたらしい。別に私は歯医者嫌いではないので、通院するに吝かではないのだが、そう煽られるのもかえって行きにくいものである。
 映画を見ようかと思ったが、しげが特に見たいというほどのものがない。『マッハ!』も『セカチュー』も『ハリポタ』も、昼間から1800円もかけて見たくはないと言う。仕方がないので帰宅。

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07月27日(火)
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