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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ストレスは溜まるようになっている/映画『復活の日』
 眼科医から「2ヶ月くらいは安静にしてなさい」といわれていたので、この先2ヶ月ほどに予定していた出張、旅行の類を一切キャンセル。
 とりあえず明日、明後日のものはなかったから、いきなり誰かに迷惑をかける、という事態にはならなかったものの、やはり何人かの同僚からは仕事が自分に回ってきたことでイヤな顔をされる。
 いやね、ホントに仕事したがらない人っているのよ。そのくせ、家に帰らないで残業だけはしょっちゅうしてるんだから、何を考えてるのかよくわからん。
 私の場合、誰かが急な病気で休んだときには全く平気な顔で仕事を引き受けてるのに、ちょっと不公平かな、と思う。


 例のちょっと、というか、最近はかなりアブナイ同僚が、ツイ、と私のそばに近づいてきたかと思うと、無言でいきなりクスリの袋のようなものを二つ、手渡してきた。
 一瞬、覚醒剤か何かかと思ってビクッとする。けれど袋をよく見ると、表面にハングル文字が書いてある。
 「……なんですか? これ」
 「しょうが湯」
 それだけ言うと、さっさと向こうに行ってしまった。
 ……え〜っと、つまりこれは私へのプレゼントだろうか。でも普通、何の説明もなしにいきなりこんなもん渡しゃしないよなあ。「韓国に行ったお土産です」とか(と言ってもこの人が韓国に行ったのかどうかは知らない)、「これでも飲んであったまってくださいね」とか、なにか挨拶のヒトコトくらいありそうなものだ。いきなりただ渡されてもなあ、どんなリアクション取ればいいのやら。
 しかもこの「ふた袋」という中途半端さは何なんだろう。箱買いして同僚たちに少しずつ配ってるっていうのならそれも分かるのだが、なにしろこの人、みんなから嫌われてるので、こなさんに配ってる形跡はないのである。
 えーっと、私はこのしょうが湯、飲んでいいものなんでしょうか。


 研修の名目で、某病院のカウンセラーの方の講釈を聞く。
 要するに「仕事のストレスから開放されていかにリラックスするか」ということなのだが、なんか大々的に全社員を集めてやんなきゃなんないことなんだろうかね。仕事上のストレスは解消できないからストレスになってるんだから、たかが講義の一つや二つで楽になるんだったら、とっくの昔に自分で何とかできてるだろう。こういう時間を設けられて強制参加させられる方がよっぽど仕事の時間が削られて迷惑なんだけどねえ。
 場所はかなり広めの会議室で行われたんだけれど、カウンセラーの方がまず、「自由に移動して、自分が一番リラックスできる場所を探してください」なんて言うのである。会議室のどこにそんな場所があるか(-_-;)。でも私は暑がりであるので、さっさと窓際に移動する。外は小雨だが、ちょっと顔が冷たくなるくらいが気持ちいい。
 そこでカウンセラーさんが「楽な姿勢で」とか「足を伸ばして」とか言うんだが、まあその通りに実行する人はあまりいない。私を含めて数えるほどだ。そりゃ当たり前の話で、上司がズラリと並んでる前で、いきなりリラックスできる度胸のある人間がそうそういるわきゃない。私が平気でそれをできるのは職場への帰属意識が低いからで、一般的には誉められたことではないのである。
 カウンセラーさんがしきりに「これができないのはストレスが溜まってる証拠ですよ」と仰るが果たしてそれはどうかね。日本人の場合、組織に所属し、一律の行動を取ることで安心感を得る場合の方が大きいんじゃないか。神経の細い人なんか、ちょっと人と違う行動しただけでビクビクしちゃうことってあると思うけど。なんかこのカウンセラーさん、アテにならんなあ。
 次に絵ハガキを何十枚もたくさん見せて、「この中で気になるものを取り上げてください」というもの。その絵がどうして気になるのか、じっと見つめて考えてみましょう、ということだけれど、ゲームの心理テストみたいな感じで、これもリラックスに関係があるのかどうか今一つピンとこない。
 私が選んだのは、薄汚れたマンションを仰角で見上げた写真で、背景には青い空と白い雲が広がっている。マンションはその一部しか映っていないので、写真に占める面積は空の方が大きい。

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07月02日(水)
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