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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■踊らぬ娘に踊る人々/『寄生獣 完全版』8巻(岩明均)/『エンジェル・ハート』7巻(北条司)
 ミュージックステーションをドタキャンしたロシアの女子高生デュオ、タトゥーであるが、その記者会見の様子を初めてテレビで見る。
 まあなんかロシア語で「私たちだけのショーにしたかった」とか言ってるが、じゃあ、1時間ずっと自分たちで歌いっぱなししたかったってことなんだろうか。つーか、契約時にそういった打ち合わせができてなかったとは到底思いにくい。
 確か以前、「週刊文春」か「新潮」だったかで、タトゥーのことを「現代女子高生のカリスマ(いい加減でこの誤用もなんとかしたらどうだ)」なんて紹介がされてたけど、ロシア人だろうが日本人だろうが、たかだか17、8の小娘に、人を心から魅了できるだけの天分がそうそうあるわきゃないのである。どうもこの二人の「人気」とやら、多分に「作りもの」である公算が大きい。
 ファッションセンスがどうの、レズであることがどうの(これもどうも宣伝臭い)、そういったプロパガンダに乗せられるのは乗せられる者の自由だけれど、今回のトラブルも案外故意にやってんじゃないか。
 それが証拠に、あっちこっちの日記で、今回のタトゥーの件を話題にしているが、この事件以前にその存在を知ってたらしい人がほとんど見当たらない。私だって「文春」を読んでなきゃ「タトゥーって誰?」ってなもんだったろう。
 まあ、「このクソナマイキなロ○ケが」とお怒りになる向きが多いのもわからんではないが、腹立てる分だけあのコたちの宣伝工作にひと役買ってることになるのである。ファンになるならともかく、右から左に聞き流しときゃいいんではないの。
 あのコたちも、ホントに「タレント」として自分たちをアピールしたいんだったら、生放送中にいきなり脱ぐくらいのことすりゃいいのだな。どうせ話題になる「だけ」のことなら、ドタキャンなんかよりそっちのほうがよっぽど「伝説」になる。マネージャーも新人の子はそれくらいの度胸で売り出そうよ。


 訃報が続く。
 28日、劇作家兼演出家の岸田理生さんが大腸がんのため死去。享年57。
 この方についても書きだしたらキリがない。寺山修司や実相寺昭雄との関わりで語られることが多いが、まず、幻想文学の映像化に関して第一人者であったことを抑えておかないと、その耽美的な表現方法について理解することは困難であろう。
 岸田さんの描く異界は、幻想の産物でありながら現実以上にねちっこい情念の世界であった。つーか、人間の抱く幻想って現実以上に生々しいものなんだよ。なんたって人間が心の奥底に封印している深層意識の世界なんだから。そこんとこがよく分ってる作家さんだったのだ。
 代表作はやっぱり舞台『身毒丸』あたりになるのだろうか。『1999年の夏休み』も、金子修介が監督でさえなかったらもっとドロッとした心に迫るものになってたと思う。映画『さらば箱舟』とかも面白かったけれど、泉鏡花原作のテレビの『青い沼の女』が一番印象深い。ヒロインの山本陽子がちょっとトウが立ってたのが難だったが。それにしても若過ぎる死である。


 続く29日、米女優、キャサリン・ヘプバーンさんが老衰のため死去。享年96だから、これは大往生。
 4度のアカデミー賞主演女優賞に輝く大女優。今でもアメリカでは「ヘプバーン」と言えばオードリーよりもキャサリンなのかな。アメリカの「理知」を代表する女優ということだが、私のような若造がリアルタイムで見たのは1981年の『黄昏』だけである。でも、18歳の若造には彼女の渋みはピンと来なかった。
 若いころの写真を見ても、決して美人とは言えない。額と鋭角的な輪郭にケンがある。ただ、いかにもインテリぶった映画マニアが誉めそやしそうな「知的」に見える雰囲気はあった。それがイヤだったから、彼女の出演作をあえて選んで見ることもしなかった。それもまたつまらない拘りではあったが。
 偶然見ている出演映画に『若草物語』『フィラデルフィア物語』『アフリカの女王』『招かれざる客』などがあるが、彼女の印象がほとんど残っていないのはどういうわけだろう。女優好きの私にしては珍しいことである。
 この人の訃報については、それこそ故・淀川長治さんに感想を聞きたかったものだが、淀川さんも相当長生きしたのにそれ以上だったんだから恐ろしい。



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07月01日(火)
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