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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■なんだか盛り沢山な日/映画『腰抜け巌流島』/DVD『怪獣大戦争』ほか
 ホントは今日は出勤してほしいと頼まれてたのだが、そうそう休日出勤ばかりしていたら、カラダが持たないのである。
 もともと休みなんだから、休んでなんの悪いことがあろうか。
 というわけで、朝寝をするつもりが、目覚めたら七時。なんか数時間寝ただけで起きちゃいました。カラダがやっぱり仕事人間になってるのかなあ(それはないない)。


 DVD『怪獣大戦争』、コメンタリーは土屋嘉男さん。
 もちろんこの映画にはX星人の統制官として影の主役を演じていらっしゃるのだが、コメントは「俳優、土屋嘉男伝」といった内容で、デビューから黒澤映画への出演、例のUFOの話と、いやまあ、面白い話がいっぱい。もちろんそれらの多くは黒澤明関連の本や土屋さんのご著書などにも紹介されているものではあるが、やはり「語り」を交えられると一味違うものを感じる。
 土屋さんのデビューのきっかけが太宰治からの「君は俳優になりなさい」の一言だったというのは初耳だった。こういう重要なことが自伝に書かれてないとは思えないから、多分私は読みおとしていたのだろう。「ほんとはあの人が俳優になりたかったんだよねえ」という太宰評はいかにも的を射たものという印象だ。

 実のところ私は、土屋さんのお名前を知ってからも、『地球防衛軍』のミステリアンや、この『怪獣大戦争』のX星人の統制官が土屋さんだとは長らく気付かないでいたのだ。黒澤映画の利吉や森半太夫が、別の映画で宇宙人とは、あらゆる役を演じるのが役者の仕事だとは言え、あまりにイメージが違いすぎたためである。「あんなお面かぶって顔の見えない役をやるなんて」という周囲の揶揄は当時からずっとあったようだが、土屋さん自身が「やらせてください」と本多猪四郎監督に頼みこんで出演することになったという話を何かで読んだときには、涙が出そうになった。怪獣映画をバカにしないで出演してくれる役者さんは、今でこそ増えはしたが、当時は珍しかったに違いないのである。そのあたりのことも今回のコメンタリーで語られている。

 土屋さんのご著書にも書かれていることだが、私が大好きな、黒澤さんと本多さんにまつわる一エピソード。黒澤さんが土屋さんに語ったという、本多さんについてのコメントである。
 「猪(いの)さんの映画って、怪獣が襲ってくると、みんな大八車引いて逃げ出すだろ。でもそれをちゃんと交通整理してる警官がいるんだよねえ」
 「監督ならどう演出しますか?」
 「そりゃ、警官は真っ先に逃げるよ。……でもね、あれは猪さんの良心なんだよ」
 近年のゴジラ映画にどうしても飽きたりなく感じるのは、この「良心」の欠落にあるのではないだろうか。

 あと、「統制官の演技はシェークスピア風」だとか、「X星語はドイツ語やイタリア語っぽいものの中に芥川龍之介の『河童』語を混ぜた」だの、「ニック・アダムスは撮影中ずっとダイエットしていて、しょっちゅうズボンを上げるのがくせになっていた」とかいうこぼれ話はどれも楽しい。しかし、あの賛否両論甚だしい「ゴジラのシェー」の発案が土屋さんだとは知らなかった。土屋さんファンの身としても、いくらなんでもそれはちょっとどうかと言いたいような、「でも土屋さんが言ったんならなあ」と弁護したいような、痛し痒しの心境である。
 土屋さんももう76歳である。『ゴジラVSキングギドラ』に出演したあとは、Vシネマや『水戸黄門』のゲストなど、数作の出演作しかない。お年を考えれば無理のないことではあるが、東宝、次のゴジラにでも出演依頼をしてくれないだろうか。


 しげから、急ではあるが「よしひと姉様、また泊まりに来るよ」と聞いたので、こりゃ今日は夜更かしになるだろうと、昼のうちに仮眠。
 練習を終えて、夕方、しげ、よしひと嬢を連れて帰宅。ちょうど、『腰抜け巌流島』をBSで放送中だったので、主役の宮本武蔵役の役者を指して、「これ誰だかわかる?」と聞いてみる。
 「……どこかで見たことあるような気はするんですけれど」
 「森繁久彌だよ」
 「……ああ、言われれば」

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06月07日(土)
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