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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■映画を見る以外に休日の過ごし方なんてあるんですか/映画『音楽』/『プーサン』/『エデンの海』/『日本一のホラ吹き男』
 朝になっても、やっぱりしげは帰らない(^_^;)。
 いいなあ、夜通し飲んで騒げて次の日に残らないって。まだまだしげは若いわ。

 CS日本映画専門チャンネルで予約録画しておいた三島由紀夫原作・増村保造監督の『音楽』を見る。
 増村監督は『からっ風野郎』で三島を俳優として使ったことがあるが、もう三島の役者としてのド素人ぶりは目を覆いたくなるほどであった。
 ATG(アート・シアター・ギルド)制作のこの映画は、三島の死後に作られたものだが、増村監督からの三島へのレクイエムの意味を持っているのだろう。その原作に『音楽』を選んじゃうというのが増村さんの意地の悪いところである。
 精神分析医を訪ねた不感症の女。
 彼女は恋人と感じることができない悩みを告白する。ではこれまでに感じることは一度もなかったのか? そうではない。彼女にもほかの男とのSEXで感じることはあった。そしてそのときには必ず彼女の体が「音楽」を奏でていた。
 心理分析による推理小説的要素を多分に含んではいるけれど、その結末は何だか今一つ説得力に欠ける(ミステリーとは言いきれないけれど、これを三島唯一のミステリ作品、と評価する人もいるので、結末は明かしません)。三島由紀夫って、才能に任せて書きなぐったような作品も多いし、これは彼のグロな面が作品として昇華しきれないままに出ちゃった感が強い。まあ、珍品として鑑賞するくらいがちょうどいいかも。
 主人公・弓川麗子には黒沢のり子。脱げる人ということで日活から呼んできたらしいが芝居はからっペた。精神科医・汐見は細川俊之。あの舞台口調で麗子を責める様子、医者じゃねーよ、と大笑い。やっぱり大映ドラマの伝統かなあ(^_^;)。麗子の恋人・江上に我等がモロボシダン、森次晃嗣(当時は浩司)。恋人を満足させられなくて悩む姿に、アンヌを幸せにできない宇宙人としての自分の身の苦しみを重ね合わせてみるのもおもしろ……くないって。
 あと、三谷昇のSEXシーンという珍しいものも見られます。見てどうする(ーー;)。


 なんだか完璧にハマっちゃったな、CS日本映画専門チャンネル。
 いやねえ、実際にCMなんか見ててもすっげえセンスいいんだよ。宝塚映画や東宝映画の名作の予告編を繋げて、そこに50年代、60年代のオールディーズをBGMに流す。これが実にハマってんだね。
 もちろん本編中にそんな曲は流れないんだけれど、当時、それらの映画をリアルタイムで見ていた世代にとっては、「ああ、この曲を聞いていたころ。この映画を見ていたなあ」と、「時代の記憶とともに映画を見る」ことができる仕掛けになっているのだ。うまいなあ。
 あるいは『新吾捕物帳』の予告編。BGMがOO7のテーマ! 『江戸の黒豹』よりずっとカッコイイんだなあ。
 しかしこれだけカッコイイCM作っちゃうと、本編見たとき、「イメージ違うじゃん!」ってことになりはしないかと心配である(^_^;)。


 続けて日本映画チャンネルで、市川崑監督の『プーサン』を見る。
 見たい見たいと思いつつなかなか見る機会に恵まれなかった映画の中でも、これは特に見たいものの一つだった。
 いやあ、よかったねえ。
 横山泰三のマンガ『プーサン』と『ミス・ガンコ』が原作、けれど脚本の和田夏十は原作マンガを随所に挟みつつも、ストーリーに一本骨を持たせるには相当自由に脚色、新設定を付与しているようである。「ようである」って言葉を濁してるのは、『プーサン』の原作、今は手に入らないから読んで比較するってことが出来ないからなのよ。昔、何かで再録されてたの見たことはあるんだけどなあ。
 脚色が効を奏したのか、本作は市川崑フィルモグラフィーの中でも最高傑作と言ってもいいんじゃないかってくらいに面白い。私の趣味に合っているというか、ギャグがみな「乾いている」のだ。私の心の中ではこれまでの市川崑のベストワンは『吾輩は猫である』だったんだけれど、もう『ビルマの竪琴』も『細雪』も金田一耕助シリーズも吹っ飛んだね。『火の鳥』とか『竹取物語』とか『天河伝説殺人事件』とかは最初から話にならないけど(^o^)。


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02月11日(火)
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