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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■新聞がみんな同じに見えるのは気のせいですか(~_~;)/DVD『明智小五郎対怪人二十面相』/『D坂の殺人事件』(江戸川乱歩)
スペースシャトル・コロンビア号の空中分解事故(「爆発事故」ってずっと書いてたけど、こういう言い方のほうが一般化してきたみたいね)に関連するニュースがいくつか。
一つは出るんじゃないかな、と思ってたらその通りに出てきた「犯人探し」。
NASAの元保安担当技師ドン・ネルソン氏(なんか怪しい名前だな)が、昨年8月の段階で、コロンビア号の事故の可能性を指摘した手紙をブッシュ大統領に「直訴」していたにも関わらず、その手紙は科学担当のマーバーガー大統領補佐官が読んだだけで、大統領の手には渡されなかった、というもの。
記事のタイトルは、「事故の可能性指摘の手紙、黙殺されていた」といかにも煽情的。「この時、マーバーガー補佐官がきちんと対応していれば、事故は防げたのでは……」と読者に思わせようって魂胆なんだろうが、記事をよく読むと、「マーバーガー補佐官は安全面についてNASAと協議した後、ネルソン氏に『シャトルの安全強化策を取った。大統領が飛行の一時停止するのは適当ではない』と返事を送った」ということである。
黙殺してねーじゃん(-_-;)。
NASAの安全管理体制を批判することはまだできるとしても(それとても予想の範囲外だったと擁護する向きもあろう)、政府の対応を批判することは難しいんじゃないか。大統領の強権発動をしょっちゅうやられちゃったら困るよってことは、ブッシュ本人見てりゃわかることじゃん。アレに「俺が正義」って意識を持たせ過ぎるのは危険だって、マーさんも思ってたんじゃないか(^o^)。となるともしかしてこの人、すげえ実務屋さんかもよ。
ともかく原因究明中の段階で「こうしてれば事故は防げた」報道ってやたら出てくるけどさ、これって「あの戦争も、あの時こうしていれば」ってのと同じで、本当に判断ミスだって言えるものって少ないんだよ。偶然と不可効力の集積までも特定の人物に責任を押しつけたがる心理って、基本的には自己責任の回避と転嫁の意識が働いちゃってる結果だって解釈されるものなんだけどさ、どうして自分に責任が及ぶはずもないシャトル事故についてまで「責任は俺たち民衆にはないぞ、政府が悪いんだ」って方向に行くかね。
実はね、マスコミも民衆も、ハッキリと自覚こそしてないけれど、今回の事故について「責任」を感じてるんだよね。
だってみんな、今までずっとなーんも考えずにシャトルの打ち上げ喜んで見てたでしょ? チャレンジャー号の事故が起こったって、あのあとNASAがどう安全対策を取ったかなんてこと、興味も持たなかったでしょ? マスコミも全然報道してこなかったじゃん? 日本のH2ロケットが打ち上げ失敗するたびに「予算がもったいない」とか「識者」は煽ってたし、それ聞いてたアナタも「そのカネ、オレにくれよう」とか思ってたでしょ?
その「予算縮小」の結果が今回の事故の可能性もあるんだよ?
どう? 自覚はしてなかったかもしれないけれど、なんとなく罪悪感は感じてたんじゃない?
つまり、電車の中でヤクザに絡まれてる女子高生を見て見ぬフリしたあとの後ろめたさと似たような罪悪感を、無意識のうちに感じちゃってるから、マスコミも民衆もみんな「犯人探し」をしちゃうのである。
これまでずっと無関心をきめこんでたんだったら、今更大慌てで「原因の究明」を、だなんて正義派を気取ってんじゃないよ。こういうときに「何か語らなきゃ」なんて考えちゃうのがそもそも偽善だというのだ。
あともう一つ、これもあるんじゃないかと思った「自粛」現象。
パラマウントが公開予定の『ザ・コア』の予告編に、スペースシャトルが制御不能に陥るシーンが含まれているということで、全館から引き上げたとか。本編からそのシーンをカットするかどうかは検討中、ということだけれど、まだまだ「ほとぼりが冷める」には間がないからDVD特典になるのを待つことになるんじゃないかな(^^)。
以前はこういうくだらん自粛シンドロームにも腹立ててたけど、まあモノによってはこうしてカットされたものが必ずしも完全に幻になっちゃうとは限らない、とわかってきたからね。どうせ一年も経てば世間はこの事故のことも忘れちゃうから(否定はできんだろう)、今だけの自粛、自粛。
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02月06日(木)
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