ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491706hit]

■めかなんて、こどもだからわかんないや/『眠狂四郎』6巻(柴田錬三郎・柳川喜弘)/『ああ探偵事務所』2巻(関崎俊三)
 天気予報で雪が降るとは聞いていたが、ホントに降るとは思わなかった。
 それくらい、「雪」なんてのは福岡じゃ珍しくなっている。一昨年の豪雪なんて、ここ10年では稀有な例だ。
 昨日一日は休めたが、今日はまた仕事である。時間も特に早出というわけではなく、午前中のみ。正月の、しかも休日にわざわざ出勤させてるんだから、働くにしてもせめてこれくらいにしてくれないとなあ。
 しげはもう朝は起きられないもの、と覚悟して(実際に起きてこなかったのだが)、速めにタクシーを拾いにいく。

 タクシーの運ちゃんとの会話。
 「降りましたねえ。昨日から冷えこんでましたからねえ」
 「最近じゃ珍しいですね。30年くらい前は毎年のように降っちゃ積もりしてたもんですけどね。やっぱり地球は温暖化してるんですかね」
 「じゃないですか?」
 「今日のは積もりますかね?」
 「積もるでしょう、これだけ降ってますからねえ」
 「車はたいへんでしょう? 山道なんか進めないでしょう」
 「そこまでは……どうですかね」
 「一昨年なんかこの坂道、全然進みませんでしたよ。すべって。今はみんなチェーン捲かないみたいですからね」
 「チェーン捲かなくても、ちゃんと雪用のタイヤがあるんですよ」
 「チェーンより滑らないんですか?」
 「滑らんです」
 「でも、一昨年は滑ってましたからねえ。限度はあるんでしょう」
 「そりゃ限度はね」
 「文明の利器も自然にゃ勝てないってことですかね」
 「全くそうですねえ」

 全く、他愛のない会話である。
 しげと会話するときも「オマエとの会話で何かが生み出されることってないな」と常日頃言っているのだが、実のところ、人間の会話で実のある話などそうそうできるものではないのではなかろうか。
 昔、私は、タクシーの運ちゃんはおろか、家族や友人とでもこういう「他愛のない会話」をするのがむちゃくちゃ苦手だった。それこそ天気の話一つできなかったのである。
 「雪が降ったから、それが何?」
 ってなもんで、その先、会話がどう転んでいくかわからぬ言葉を口にすることに、異常に抵抗感を感じていたのだ。
 それが自分自身の傲慢に過ぎないことに気づくのには随分時間がかかった。要するに、心のどこかで、「どうせ一過性の外交辞令じゃないか」「実のない言葉を話し掛けてくるなんて、こいつは内心、オレのことバカにしてやがるのだ」なんて被害妄想に陥っていたのである。バカはオマエじゃ。
 ……そういう感覚が小学生のころから大学のころまで続いたのだから、その間の自意識過剰ぶりというか、人間としての成長のなさを思うと、慙愧の念に耐えない。
 頑なになっていた時期が長かった後遺症で、今でも挨拶だの会釈だの、決して上手くはないのだが、とりあえず、こういう他愛のない会話をやりとりできるくらいに私もオトナにはなったんだなあ、と思う。


 買ったばかりのDVD‐RW、どの程度の機能かと何度か試し録画。
 記録フォーマットに「VR(Video Recording)モード」と「ビデオモード」の二種類あるってところからして、キカイ音痴の私には閉口ものなのだが、VRモードってのはRW対応機種での録画編集を何度も繰り返して行える、というものらしい。ビデオモードというのは、録画した映像をファイナライズ処理(いわゆる保存処理ってことだな)することで、市販のDVDプレーヤーでも再生できるようにしたもの。
 こないだ紅白を録画したときは、その違いがよくわからずに、VRモードで撮っちゃったのだが、そうなるとRW対応機を持っていない人にこのDVDは貸し出せないことになる。
 となれば、知り合いや友人にDVDを貸せるように、というのも目的の一つだから、設定を常に「ビデオモード」にしておけばいいかな、と考えて、今日はCSスーパーチャンネルの『新刑事コロンボ・死を呼ぶジグゾー』をビデオモードで録画してみる(この映画は以前に見てるので詳しい感想は書かない。コロンボとしては駄作である)。

[5]続きを読む

01月04日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る