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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■オタクの明るい未来/『リンダリンダ ラバーソール』(大槻ケンヂ)
 朝、またもやしげ起きてこれず、タクシーで職場へ。
 このとき乗ったタクシーの運ちゃんがなんかボケてて、道を教えても「はあ?」とよく聞こえない様子。「右です」「左です」と、いちいち二回ずつ言わないと伝わらないのだ。
 私はタクシーの運ちゃんの話を聞くのが好きなのだが、たまにこういうのに当たることもあって、そういうときはホントに往生するのである。なんたって「右」と言ってるのに左に曲がられるから、仕方なく「次の次の角を右ですよ」と早めに言うと、次の角で右に曲がられてしまったりするのである。
 朝っぱらから神経使わされたせいか、体調がよくない。
 喉がいがらっぽく、咳も出始めたので、また風邪にかかったかと暗い気分になる。葛根湯を飲んで、体を休め休めしながら仕事。


 職場で若い子たちとお喋りしていると、なぜか「オタクはいかにして恋愛するか」という話になる。というのも話相手は二人だったのだが、そいつら二人が二人して男も女も隠れオタクだったのであった。
 まずそのオタク野郎が、「鬱陶しいオタク」の典型だったと思っていただきたい。大声でしつこくて自分の趣味を押しつけるタイプで、女の子に嫌われて当然、というやつだ。
 「お前さあ、趣味は趣味で持ってていいけどさあ、もう少し、人の気持ち考えろよ。彼女いないだろ?」
 「いませんけど」
 「女の子好きになっても、自分の趣味押しつけるばかりで、女の子から好きになられるような自分になろうなんて考えてないだろ?」
 「……まあ」
 「好きな子いるか?」
 「いやその」
 「どうせお前のことだからさ、好きだけどなかなか言い出せなくてよ、なにかのきっかけで向こうからこっちを見てくれないかなあ、とか甘いこと考えててよ、それでいて偶然目があったらついソッポ向いたりしてよ、優しい思いやりのある言葉の一つも言えなくて、会話すればつまんないことで言い合いのケンカになったりしてさ、本心はいつまでも言えないままで、それ以上関係が進まないとか、そんなガキみたいな恋愛してるんだろ」
 「あの……えらく具体的なんスけど、見てたんすか?」
 「見てなくても当たってるだろう」
 「……当たってます」
 「自分の言いたいことだけ言って、相手の気持ち考えないからそうなるんだよ。相手はお前の大事な大事なフィギュアじゃなくて生身の人間なんだぞ? 自分の思い通りになるって心のどこかで思ってるからゴーマンな態度取って平気でいられるんだよ。そんなことしてたら30過ぎても結婚できなくて、段々焦ってきてちょっとかわいいオタクっぽい女の子がいたら、『この子しかいない!』とか思いこんでムリヤリからんでストーカーめいた行為働いちゃって「気持ち悪い」って嫌われてよ、トモダチからも絶交されて独りぼっちになっちゃうとか、そんな哀れなオタクになっちゃうんだぞ。シンジくんか。だいたいオタク男ってさ、同じ趣味持ってるからってオタク女を好きになるけどさ、オタク女はオタク男が鬱陶しいから嫌いだってことに気づいてないんだよな」
 「あ、あの、なんかスゴイ、イタイんスけど」
 「ある人の実話だ」
 「うひいいいいい!」
 後ろで女の子が笑っていたので、そちらにもネタを振る。
 「女のオタクだって、30過ぎまで独身で結婚できないなんてのいくらでもいるんだぞ。ずっと同人誌でヤオイマンガとか描いててよ、コミケでいいブース取ることだけに命かけててよ、○○サマ〜とか○○サマ〜とか人目も憚らず叫んでるもんだから、『あいつに近づくとヤバいぞ』って男の間でウワサ立てられてよ、宴会のあと『ウチまで送ってやるよ』ってエスコートされてよ、ホントにウチまで送られちゃうような女になっちまうんだよ」
 「あ、あの、ムネがイタイんですけど……」
 「実話だ」
 「ああああああ!」
 「オタクだからって人と違ってていいとか、常識なくていいとか、全部言い訳なんだよ、少しは自分のやってること、見直せよな」
 もちろん、私が自分を見直して見たことなんてないのは言うまでもない。
 「心に棚を作れ!」(by伊吹三郎(^o^))。
 あの、これ冗談の会話ですから、オタクのみなさん、本気で怒らないでね。



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12月19日(木)
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