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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■つらいよねえ、やっぱり/『“It”(それ)と呼ばれた子 幼年期』(デイヴ・ペルザー作/田栗美奈子訳)
ちょっと楽しい話題から。
東京書籍発行の中学教科書『新しい社会 公民』の記述の中で、新潟県中里村の「雪国はつらつ条例」を「雪国はつらいよ条例」と誤記していたことが判明。
もちろん東京書籍は来年度用の教科書では修正する措置を取ったそうだが、村の方は「雪を克服しようとしているのに、まったく逆のイメージが広まってしまった」とカンカンに怒ってるそうだ。
村が怒るのは当然だけれど、申し訳ないことにこういうニュースは大好きである。文部科学省もこのミスに気がつかなかつたってんだから痛快じゃないの。
原因はパソコンへの入力ミスということで、打ちこんだ人も多分「雪国はツライよ」と信じきっていたに違いないね。だってさあ、「南国はツライよ」とか「常夏はつらいよ」とかじゃあイメージが結びつかなくて誤記のしようがないもの。これが「雪国」だからしっかりハマっちゃったのである。
それにヒドイ話ではあるが、これで「はつらつ条例」はかえって有名になったんじゃない? こういう事件がない限り私だってそんなん知る機会なかったと思うし。怒るほどマイナスイメージにはなってないと思うけどなあ。雪国の人がはつらつとしてるってんなら、こういうミスも笑って赦してやるくらいの度量があったらよかったと思うんだけど、どうかね。
それにしても「条例」とは言ってるけど、具体的にはどんなこと記してあるのかねえ。「第一章・雪国人は雪国人としての誇りを持たねばならない」とか?
「第二章・雪国人は雪との平和的な共存を図り、雪だるま・カマクラ・雪合戦などの雪国文化を後世に伝えるべく努力すべし」とか。
雪国の商工会議所のあちこちにこれが張られてて、みんな朝礼で唱和してから仕事にかかるんだよ、きっと。
せっかくだから「ホントはこうです」って宣伝すればいいのにねえ。どうも役所ってとこはアタマが固くてイカンよねえ。
珍しいことはウチでも起こるという話。
仕事帰り、迎えに来たしげが愚痴を言う。
「今日、水漏れがあったんよ」
「なにそれ」
「上の階の洗濯機の配管が壊れてて、天井から水が漏れてきたと」
「それでどしたん」
「仕方ないから管理会社に電話して直してもらった」
「直ったんならいいやん」
「よくないよ、工事の人がくるまで、管理会社の人とずっと世間話しなきゃならなかったんだから」
「なんて?」
「『本やビデオがたくさんありますねー』とか、『ガンダム』見つけて『ファンでしたー』とか『イデオンがどうの』とか」。
どうやら結構オタクな兄ちゃんだったらしい。
そういう会話は確かにしげは苦手だろうが、それも世間との付き合い方の勉強になるというものだ。
帰宅して見ると、なるほど、天井にヒビが入っていて、水が漏れた跡がある。洗面器を置いてあるのが昔の貧乏長屋の風景みたいだ。あと数センチずれていたら、DVDプレイヤーにかかっていたところで、危機一髪であった。
これの修繕費、当然タダなんだろうな。
今日もしげは早出だと言うので一緒の食事はなし。
昨日同様、ほっかほっか亭で新発売のガーリックチキン弁当を頼んで食う。こちらの方が昨日のテリヤキより好み。
新製品に飛び付く、というより、もともと私は定食屋などでも一通りメニューを制覇しないと気が収まらない性格なのである。
同じものしか頼まないしげと趣味が合わないのも仕方ないか。
デイヴ・ペルザー作・田栗美奈子訳『“It”(それ)と呼ばれた子 幼年期』(ソニー・マガジンズ/ヴィレッジブックス・650円)。
ベストセラーの文庫化。
作者自身がいかに母親から虐待を受けて来たかって経験を語っているだけだから、本来ツッコミの入れようもないはずなんだけれど、一人称の伝記というのは、ともすれば客観性を失う危険を秘めている。
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12月18日(水)
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