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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■買ったからには見まくるぞ/DVD『七人の侍』『赤ひげ』『蜘蛛巣城』『姿三四郎・最長版』
昨日外に締め出したしげ、朝になったら帰って来るかと思ったら、音信不通のまま。
これで仕事場に迎えにも来なかったら、また二、三日追い出しておこうかと思ったが、仕事を終えて駐車場に出てみると、ちゃんと車を乗り付けている。ただゴメンの言葉はない。いやに静かに大人しくはしているが、反省しているわけではないのは分ってるので、早晩またケンカになるであろう。
しげ、仕事が早いと言うので、コンビニで落としてもらって、自分一人分の夕食の買い物。近所のほっかほっか亭を覗くと、新発売とやらの「てりやきチキン弁当」を売り出していたので、それを買う。ちょっと味が濃いが、まあ悪くはない味。
初めてアニメ『スパイラル』を見る。
クリスマスに合わせてか、プレゼントを買う話で、本筋からちょっと離れている印象。思ってたより出来はそう悪くなさそう……と思ったら、作ってるのが『少女革命ウテナ』『エクセルサーガ』のJ.C.STAFF。ああ、こりゃもう少し早めに見ておけばよかった。トリックに難があるのは分るけれど、原作は必ずしも志が低くはないんで、アニメのデキがよければ追っかけてみてもいいかなと考えているのである。
さて、今日は黒澤明ボックスのまとめ見。一度見てるやつばかりだし、筋は先刻ご承知、という方もおられようから、今回見て、改めて気づいたところだけ。
まずは途中まで見てたDVD『七人の侍』後編。
これも語りだすと長くなりそうだなあ。できるだけ短くいこう。
最初に見たのは多分中学生か高校生のころだと思うけれど、そのときは登場人物に好き嫌いが結構あった。
七人の侍で好きなのは、久蔵・勘兵衛・五郎兵衛・七郎次・平八の順で、勝四郎と菊千代は嫌い。百姓はみんな嫌いだった。要するに足引っ張るやつが嫌いだつたのだね。
ところがこのトシになって見返してみると、この嫌いだったはずの青二才たちが全く逆にいとおしく見えてくるのである。百姓の利吉の軽率で平八が、菊千代の先走りのせいで五郎兵衛が死んだと言うのに、中学生のころは腹を立ててた私が今は「それも仕方がないよなあ、若いんだし」という気持ちになっているのである。それどころか彼らの若さ故の苦悩が昔よりヒシヒシと伝わってくるのだ。
考えてみたら、黒澤監督は常々「私は青二才が好きだ」と公言していた。たとえ失敗しても、人を傷つけても、そこで泣き、自らを責め、そこから先に進もうとする意志が若者には見える。それをこそ黒澤監督は「オトナ」として愛したのだろう。
なるほど、平八が死んでも五郎兵衛が死んでも、勘兵衛たち「オトナ」は、一切その責任を利吉や菊千代に着せようとはしなかった。彼らの「若さ故の過ち」はオトナが引き受けなければならない自らの罪でもあるからだろう。
……そう思うと現実のオトナって、みんなオトナになりきれてないトッチャンボーヤばかりだよなあ。いったいいつから日本は「オトナ」のいない社会になってしまったのか。
メイキングには、当時の撮影風景もチラリと収録。
DVD『赤ひげ』。
これもまた「青二才」の物語である。パンフレット(これがもうムチャクチャ分厚い)によれば、史実の小石川診療所には赤ひげこと新出去定のような名医はおらず、診療所と言うよりは隔離所のようなもので、病人はあまりここに入りたがらなかったと言うことだ。とすればこれもまた「映画」という名のファンタジーであるのだろう。
ファンタジーではあっても、その描写の仕方自体は実にリアルだ。
加山雄三演ずる保本がその高慢から診療所のお仕着せを着るようになるまで、随分時間がかかる。
六助の死、女の手術、おくにの告白、狂女に殺されかけ、瀕死の佐八に彼の過去を聞かされ、そしてようやくお仕着せを着るのである。自分がここで何をしなければならないか、若造が気付くにはこれだけの手間がかかるということだ。その間、赤ひげはただ保本を見守って待っているだけ。
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12月17日(火)
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