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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■今から2ヶ月後のプレゼントで悩んでいる男の愚痴/『華麗なるロック・ホーム』(手塚治虫)ほか
 入籍してから丸十年を経過しているが、式を挙げたのは五年経ってから。
 てなワケで今日が結婚「式」記念日である。
 ところがしげのやつ、この手の記念日ってのをすぐ忘れるのだな。イベント好きのクセに数字には極端に弱いので、「1021」なんて数字はいい語路合わせも思いつかなくて覚えられないようなのである。ちなみに「入籍」記念日は12月31日で大晦日なのだが、これもしげはすぐに忘れる。なぜだ(まあアホだからなんだけどな)。
 でも金欠病が続いているので、記念日のプレゼントは用意してない。と言うか、何を贈ったらいいか、もうネタギレである。指輪も贈った(縁日で売ってた、やっすいやつだけど)、ネックレスも贈った(観光地で買ったダッサイやつだけど)、ブレスレットも贈った(磁気だか妖気だかが出てる妖しいやつだけど)、香水も口紅もバッグも水着も贈った(たいてい1回で捨てられてるけど)、これ以上、何を贈ったらいいと言うのだ。図書券や現金は「そんなんプレゼントじゃない!」と怒るし。
 「お前の好みのものかどうか分らんからヘタなもん買えん」と文句を言うと、「プレゼントなんか用意してないフリして、『ほら』ってくれたものがステキなものだったりするのがいいとよ!」なんてほざきやがる。わしゃ、エスパーとちゃうわ。
 だいたい私の方から一方的にプレゼント贈るばかりで、しげからは気が向いたときにたまにしかプレゼントなんかくれないのだ。ブルジョアから搾取されるならばまだ納得がいかないこともないが、プロレタリアートがプロレタリアートから搾取するなよ。なんだかムチャクチャ理不尽なものを感じるのだが、世間の夫婦はやっぱり夫が一方的に妻にプレゼントしているものなのだろうか。……でも、親父がお袋にプレゼントしてるとこってあまり見たことないなあ。お袋はしょっちゅう、親父に何やかやと買ってたものだったけど。 

 
 それでもなにかイベントらしきことはせねばなるまいと、「さかい」で肉を食う。そう言えばしばらく焼肉を食っていなかった。
 しげにはとりあえず赤味の肉をあてがっておけばいいのだが、私はそれだけだと物足りないし、第一、三人前の盛り皿を頼んでおいても、しげがその大半を食い尽くすのである(-_-;)。私は私で何か頼んでおかないと腹が減って仕方がない。なんだかよく分らないが新メニューで壷に入ってるホルモンがあったので、それを頼む。甘タレが染みこませてあるということであるが、ホルモンにタレが染みこむものであるのか。まあ、腸だからどこかに穴は開いてるんだろうけれど。味は普通のホルモンと比べて美味いんだかどうだか、まあ、不味いとは言わないけれど、気分の問題という気もする。
 私がホルモンに執着してしまうクセというのは、これもやっぱり子供のころの刷り込みで、親が焼肉と言えばホルモン、というように小学生の私に食わせまくったのである。ホルモン注射とかなんとかとのイメージの混同があったのだろうが、「栄養がある」「からだにいい」と思い込んでいたのだろう。実際はただの腸なんだがなあ。しかし、この手の勘違いは世間一般でも同様だったらしく、昔は焼肉屋の前には堂々と「ホルモン焼き」と看板が立てられていることが多かった。っつーか、ホルモン焼き専門の店まであったくらいである(今はその店は焼鳥屋になってるが)。
 しげ、肉を10枚ほど食べ残して「もう食べきらん。少食になった」とぼやく。言って置くが、「三人前」の皿の、残り10枚である。私はせいぜい5、6キレしか赤味の肉は食っていない。少なめに見積もっても、しげは20枚以上肉を食い、、ご飯も2杯オカワリしているのである。「これで少食になった」と言ってるのだから(一応それは事実だ。昔は肉を10枚も残すことはなかった)、以前がどれほどのものだったかは察していただきたい。健啖家、なんて表現が生易しく聞こえるくらいなんスから、ホント。


 しげ、腹も下ってきたらしく、「早く帰ろうよう」と泣きだす。
 けれど無情に「いや、本が買いたいから」と突き放し、、ムリヤリ積文館に寄らせる。散々肉食っといて、腹が痛くなったなんて、自業自得というものだ。ちょっとくらいガマンせえ、と、しげを駐車場に待たせておいて、本を物色。

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10月21日(月)
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