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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■コギャルかく語りき/DVD『久里洋二作品集』/『ヒカルの碁』18巻(ほったゆみ・小畑健)ほか
 8/6日の日記の続きから。

 映画『パワーパフガールズ ムービー』。
 内容については、テレビシリーズでも部分的に紹介されていた「パワーパフガールズ誕生編」を、改めて本格的に描いたのが効を奏している。この映画で初めて『PPG』に触れたって人にも、キャラクターや世界観が分かりやすく、すんなりと入り込めるようになっている。
 お定まりの「お砂糖、スパイス、すてきなもの一杯、でもユートニウム博士は間違ってとんでもないものを入れちゃった。それはケミカルX〜」のナレーションが入らないのは残念だけれど、オープニングは、BGMに乗せて、まだただのサルだったころのモジョ・ジョジョと、ここだけいかにもマッドサイエンティストな博士とのメリハリの効いた動きでミュージカルっぽく見せている。いい演出だなァ。
 「かわいくてすてきな女の子を作るのが夢だった!」って博士が叫ぶあたりも、随分アブナい。この博士、一見品行方正に見えて、テレビシリーズでも相当アブナい発言を繰り返していて(セドゥーサとはオトナの関係にもなってたしな)、このあたりの描写一つ取ってみても、この作品がファミリー路線じゃないってこと、気づきそうなもんだが、騙されてる日本人多そうだよなあ。
 スーパーパワーを持つがゆえにタウンズビルの人たちに嫌われ、それと気づかずモジョの悪巧みに荷担させられていく過程の細かな描写が実にうまい。たとえ真実を知らなかったとは言え、結果的に街を災厄に陥れちゃうわけだから、観客の中にはPPGの3人に対して拒否反応を抱く人もいるかも知れない。けれど、警察に拷問された(と思しい。この辺の描写もハード)博士に「彼女たちは子供なんだ……どうしてそれがわからない」とつぶやかせたり、モジョに連れられて3人が動物園に行った時、バブルスが赤ちゃんの落としたオモチャを拾ってあげたのに、母親から悪態をつかれるシーンを挿入したりと、さりげないけれども、3人に対して同情がわくようにうまく演出している。いいなあ、こういうのを「演出」と言うのだよ。
 モジョがケミカルXをPPGに盗み出させて作り出した猿軍団(これが世界のお猿大集合って感じでやたら何十匹も出てくるのが可笑しい)をものともせずに倒し、PPGはようやく街の人たちに迎えられる。結末がそうなることはわかっているのだけれども、こういう話で予定調和で終わるのは当然のこと、描写をキチンと積み上げてドラマに仕立てているから、不自然なところや欲求不満に感じるところは少ない。ホントに『スターウォーズ』よりよっぽどドラマの構造がしっかりしてるよ。

 これまで謎(と言うほどでもないが)となっていた事実が明らかにされている点も多く、オタクなファンにはそれだけでも大満足。
 ブロッサム、バブルス、バターカップのネーミングの由来も「お花が咲くようにパッと喋り出したから(ブロッサム)」「泡がはじけるように笑うから(バブルス)」ときて、「Bで始まる名前だから(バターカップ)」と、3人目が割リを食うのは、『リア王』以来の伝統か。
 バブルスがいつも抱いてる玩具のオクティは、ユートニウム博士がくれた最初のプレゼント。博士のことを「Dady(パパ)」と呼んでキスをするのもバブルスが最初。オクティを肌身離さず抱いてたのは、パパとの最初の思い出だからなんだね。
 レギュラー悪役で顔を見せるのは、モジョのほかにはファジー・ラムキンズとギャングリーン・ギャングだけ。ファジーは普段は山奥に引っ込んでてそんなに悪い事してないと思ってたけど、強盗してるのは食料調達で出稼ぎに来てるのかね。ギャングリーンギャングの住まいは、ゴミ捨て場のダンボール箱の中。なんだ、こいつらホームレスだったのか。バターカップもまさかこのときは後にエースに惚れることになろうとは想像もしてなかったろうなあ。
 モジョの秘密基地を作ったのが実はPPGだったってのが、一番の衝撃の事実かな。エネルギーがマグマってのは見たとおりだけれど、基地を作った材料が、沈没船(何となくノーチラス号っぽい)や、氷山の中の隕石だってのはもしかして五右衛門の斬鉄剣(原作では「流星」という名の隕石から作った剣)からの連想か? それにしても、そんなことモジョはなんで知ってたんだろう(^_^;)。

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08月07日(水)
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