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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■復讐正露丸/『快傑ズバット』第一話/『芥川龍之介 妖怪文学館』/『秘宝耳』(ナンシー関)

 朝、というより夜中の1時過ぎ。
 当然、私は安らかな眠りについていて、鳥の囀りのように軽やかなイビキをかいて(もちろん想像である。熟睡してるんだから自分でイビキをかいてるかどうかなんて分るわきゃない)いたのだが、けたたましく鳴り響く電話のコール音に
飛び起きた。
 仕事中であるはずのしげからである。
 「どしたん? 夜中やん」
 「……車上荒らしにあった」
 「はあ?」
 「窓ガラス割られてね、バッグ盗られたと」
 「ケガとかしとらん?」
 「うん。駐車場に停めてたら、お客さんが盗まれたって言ってたから、見に行ったら盗られとった」
 「おカネとかは?」
 「いや、お金は盗られてないけど、練習用のバッグだから、着替えとか、スケジュール書いてた手帳とか、全部盗られた」
 「うーん、まあ、そんなもんで済んでよかったと思わにゃ」
 「あれ、正露丸入れとったやろ」
 「だっけ」
 「うん。泥棒があのバッグ開いて、正露丸の匂い嗅いで『なんじゃこりゃあ!』って驚くのがせめてもの救い」
 「……そういうもんか?」
 「じゃ、警察行ってくる」
 電話を置いて、一息ついて思ったこと。
 確かにしげにとっては大変な災難ではあったろうが、なんでわざわざ私を叩き起こして電話してくる必要があったのか。朝になって報告すればよかったんじゃないのか。今日も朝もはよから、私、仕事があるんだけど。

 しげのロドリゲス(車にそういう名前をつけてた気がするが、もうしげ本人もそんな名前で呼んでない。薄情なやつである)、窓が割られたままなので、職場へはタクシーで行く。
 ところが、帰りはしっかり窓ガラスを入れて迎えに来たのでビックリ。
 「どうしたん? もう、保険が降りたの?」
 「計算してみたらこれから払う保険代のほうが高くつくから、2万円で入れてもらった」
 ほかに、バッグや手帳や着替えを買い直したら、結局5万円くらいはかかりそうとのこと。「もう出て来んよね」と繰り返すが、今頃はどこかのゴミ箱行きだろう。まかり間違って、犯人がヘンタイだったとしても、着替えの持ち主がしげのようなやつだと分かったら幻滅するのではないか。ジャージには正露丸の匂いが染み付いてるし、嗅いでも嬉しくないだろうな。
 「しーじゃっく」で寿司を食って、マルキョウでトイレットペーパーを買って帰宅。


 2004年から紙幣の肖像が切り替わるそうな。
 なんだかついこないだ夏目さんと新渡戸さんと福沢さんに切り替わったばっかりのような気がするのは気のせいか。20年くらい経ってんの? もう。
 1万円札の福沢諭吉は変更ナシだけれど、5千円札は樋口一葉、千円札は野口英世だって。どういう基準で選ばれてるのかは分らないけれど、なんでこの人? って違和感を感じるほどではない。女性文学者を誰か一人、ということになるとやっぱり一葉かなって気はするし。与謝野晶子や林芙美子がなぜダメなのかは触れないでおこう(^_^;)。
 テレビのニュースでは、野口英世の姉さんの孫って人が喜びのコメントしてたけど、そんなに嬉しいものなのかね。まあマイクを向けられたら喜びのコメントしか言えないだろうけど。
 今回のニュースを見て初めて知ったことだけど、この肖像選択に際しては、子孫とかに事前の連絡や許可を求めたりってこと、一切しないんだね。樋口一葉記念館の人が「そう言えば以前役所から写真くれって言ってきたのはこのことだったのかと」って言ってたのはちょっとマヌケだったな(^o^)。
 けどなー、まるで比較するように、新渡戸稲造の子孫や道後温泉の従業員にコメントを求めてたのは、ちょっとばかし失礼ではないの? んなこと聞かれたって、「淋しいです」以外に返事のしようがないやん。マスコミが失礼だってことは昔から分ってたけどさ、それ以前に視聴者は誰もそんなこと聞きたいと思ってないってこと、わかんないのかね。
 まあ、夏目房之介さんにコメント求めに行かなかっただけまだ理性があるのかな。もっとも、実はコメント求めてて断られたのかもしれないけど。「おじいさんがお札から消えてしまいますがどう思われますか?」なんて質問、返事のしようがないよなあ。



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08月02日(金)
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