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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■しげ、肉離れ?/『けろけろ 緑の誓い』(矢島さら)/『風雲児たち 幕末編』1巻(みなもと太郎)ほか
 昨日作った麻婆豆腐、残りを朝飯にする。
 朝、ちゃんと食事したほうがいいとはよく言われてるが、実際に朝食事して行ったら、確実に体重が増えるんだよね。
 御飯と味噌汁だけにしておいてもやっぱり太る。マンナンライスを混ぜても太る。多分、誰かが私にデブの呪いをかけたに違いない。誰か祓って(-_-;)。

 と言いつつ、晩飯は「焼肉のさかい」。
 たっぷり寝てるくせに「気分が悪い」とか抜かしやがるしげが、飲みものを飲みたがったので、焼肉屋で唯一ドリンクバーがあるこの店を選んだのである。
 「……気分悪いんなら、焼肉なんて食わないで帰って寝りゃいいんじゃないのか」
 「だって肉も食いたいんだもん!」
 「欲望を抑制できないから病気になるんだよ!」
 「欲望抑えたら気分が悪くなるやん!」
 それってアル中の理屈じゃねーか。っつーことはしげは「肉中」か。
 それほどまでに肉に固執したしげであったが、焼き肉の匂いに咽たか、焼肉をいつもの3分の2ほどしか食べられない。
 更にまだ焼いていない肉が残っていたので、「どうしたん? もう食べんと?」と聞くと、「先に車に行ってていい?」と答える。
 一瞬、聞き損ないかと、キョトンとする。
 しげと結婚して10年、しげが肉を食い残して帰りたがるなんてことはただの一度もなかった。これは本気で具合が悪いのか。
 しげ、悔しそうな顔で言う。
 「食べたいけど、食べきらん」
 ……「肉欲」自体がなくなったわけではなかったようである。
 けれど、さすがのしげも、10年前に比べれば少しずつ少しずつ、食事の量が減ってきていることは事実だ。味覚も変化してきていて、以前ほどの甘党でもなくなってきている。
 このまま、少しずつ和食の微妙な味なんかも分かるようなオトナの舌になってくれると、濃い料理に付き合わなくてもすむし、私の舌とも趣味が合ってくるのだが、果たしていつのことになるのか。


 ベスト電器、紀伊國屋書店を回って帰宅。
 具合が悪いのが分かってて引き摺りまわすのだから、私も悪党である。
 帰りつくなり、「きつい」と言って、しげ、ぶっ倒れる。
 病院の健康診断でも正常、と言われたのだから、あまり過度に心配したってしょうがない。要するに生活のリズムが狂ってるせいで自律神経失調症になってるんだろうから、栄養の偏りがないようにして、運動して体力つけりゃいいのである。
 ……一番やりそうにないよな、しげ。


 偶然、『ETV2002 祖母・幸田文への旅』を見る。
 幸田露伴の娘が幸田文で、その娘が青木玉で、って、ここまでは一応作品に目を通してたけど、更にその娘さん、青木奈緒さんまではフォローしてなかった。しかし4代に渡っての作家って、ギネス級じゃないのかな。青木さん、結婚してないみたいだからここで途絶えちゃいそうだけど。
 番組は、奈緒さんが、祖母の幸田文が、晩年、山の崩壊現場を見て回って書いた作品『崩れ』の現場を、再び自分の足でたどる旅を追いかける。
 『崩れ』については未読なので感想は述べようがない。しかし、今に残る幸田文の日本各地を旅するドキュメンタリーを見ると、足腰の弱くなった70歳を越してなお、幸田文がどうして「崩れ」に興味を持ったのかがなんとなく見えてくる。
 自然は人間が手を加えるから変化するものばかりではない。自然は自然のままでも川の氾濫、地殻変動等で時々刻々と姿を変えている。奈緒さんが祖母の足跡をたどった時、20年前と同じ風景は全くと言っていいほどなかった。
 この「変化」はなんなのだろう。人間と関わりがなくても、自然が息づき、壊れ、再生されていく過程を知る者は実は少ないのではないか。なぜなら、我々「個人」は、その変化を見続けるにはあまりに短い生しか持たないからだ。
 この番組が面白かったのは、個人が見続けることの出来ない長大な自然の変化を、幸田家という、脈々と受け継がれる作家の眼を通して発見させたということであろう。
 そう、それはまさしく「発見」である。

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07月31日(水)
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