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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■憑かれた女/『新宿少年探偵団』(太田忠司・こやま基夫)ほか
あなたは霊の存在を信じますか?
私は信じません。
これまでに、霊現象と言えるような経験をしたこともないではないのですが、全て気の迷いだと思っています。
祖母の死も母の死も私はその日の朝に予知しましたが、ただの偶然だと思っています。
そうです。時折、寝室で蠢いている黒い、得体の知れないものも、目の錯覚です。その黒い闇の中に、青白く光る瞳のような物がはっきりと見えていようと。
今朝、というか、夜中の3時すぎのことです。
私はぐっすり眠っていました。
玄関でドアが軋むような音を聞いたような気もしますが、多分、耳の錯覚でしょう。私はそのまま眠り続けていました。
いきなり、どさりという音がしたかと思うと、急に私の胸が苦しくなりました。なにかが寝ている私の上に乗っています。
「うげえ、うげえ」
それは何か人語を喋っているようにも聞こえましたが、私の耳にはそんな呻き声のようにしか聞こえませんでした。もそもそと動くそれは、だんだんと力が抜けてきたのか、少しずつ、少しずつ重くなってきました。
ああ、これはいつもの黒いあれだ。
そう直観した私は、思いきりそれを跳ね飛ばしました。
先ほども書きました通り、私は一切の霊現象を認めません。
金縛りは半覚醒状態の筋肉疲労にすぎません。そこに何かがいるように思うのは錯覚です。絶対にそうです。
私の上の黒いものはまた、どさりという音を立てて私の脇に落ちました。
「きゃー!」
なんだか悲鳴のようなものが聞こえたような気がしますが、無視します。これはただの夢なのですから。
元ディズニーのアニメーターのウォード・キンボール氏が、8日に死去、享年88。死因は明らかにされていないとか。
キンボール氏は広島国際アニメーションフェスティバルの審査委員長として来日されたことがあるが、あれは第何回のことだったか。私もそのとき、キンボール氏を見かけていたはずだが、英語が堪能であれば図々しい私のことだから、何か迷惑なことを喋りかけていただろう。実際には客席から審査員席を仰ぎ見るばかりで、「はあ、あれがミッキー・マウスに白目を入れたキンさんか」とか思ってるだけだった。日米友好を思えばつくづく英語が喋れなくてよかった。
御伽話しか作れないディズニーの中でキンボール氏は異端で、その本領が最も発揮されたのはあの怪作『ふしぎの国のアリス』であったと聞く。ことあるごとにディズニー批判してる私だが、誉めたい作品もないわけではない。キンボール氏のイカレた作風は、『アリス』のようなイカレた原作(『ふしぎ』だけでなく『鏡』も中に取り込むイカレ具合である)を料理するにはうってつけだったろう。キンボール氏ほか、創世記のアニメーターが大挙してディズニーを出た後、ディズニーは明らかに失速した。再びディズニーが脚光を浴びるには、宮崎駿に影響を受けた新世代の台頭、『リトル・マーメイド』や『ビアンカの大冒険 ゴールデン・イーグルを救え!』などの作品を待たねばならなかったのである。
……しかし、死亡記事の小さいことったらない。
日頃ディズニーにあらずばアニメにあらずみたいなこと言ってる連中は日本にも多いけれど、所詮あいつらが興味持ってるのはキャラクターにであってアニメ自体にじゃないんだよな。鬱鬱。
晩飯はもういい加減飽きてきた「めしや丼」にお出かけ。
車の運転中、しげが盛んに「疲れた疲れた」と連発する。
なんだかシフトが変わったせいか、やたら仕事が忙しくなったらしい。
どれだけ疲れているかというと、仕事中、しげの頭の中を杉良太郎の『君は人のために死ねるか』がエンドレスで流れているのだそうな。しかもしげは原曲を聞いたことがなく、カラオケでぴんでんさんが歌っているときのバージョンでしか知らない。
ぴんでんさんの声は渋い。歌唱力ももちろん立派なものなのであるが、やはりAIQの一員だけあって、巧まざるユーモアがコブシを利かせるあたりに自然と漂う。杉良なら延々と聞いたりしてられるもんじゃなかろうが、ぴんでんさんの声なら、なんとなく耳を傾けたくなる、そんな雰囲気がある。
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07月10日(水)
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