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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■「八手三郎」は「やつでさぶろう」/『ふたつのスピカ』1・2巻(柳沼行)/『僕らのスーパーヒーロー伝説』(堤哲哉)ほか
なんだか最近「王将」で晩飯食うことが増えている。
安価で手ごろってこともあるんだろうけれど、それなら定食屋のほうが私は好みなんだがなあ。
てなわけで今日も仕事帰りに「王将」。ひこねのりおキャラデザインの四神が出迎えてくれるが、どうして玄武の尻尾はヘビじゃないのだ。あれじゃただの亀じゃん。それに色も黒でないと。マンガキャラにツッコミ入れたってしょうがないけど。
先日から揚げ食った時、すごく美味かったそうで、しげは「から揚げ食いたいから揚げ食いたいから揚げ食いたい」とうるさい。しかし私に言わせれば、この店のから揚げは、身がややパスパスで、マズイとまでは言わないが特に足繁く通わねばならないほどの味とも思えない。まだケンタッキーフライドチキンやほっかほっか亭のチキンバスケットのほうがマシのような気がするが。
考えてみたら、福岡は中華料理の店は多いけれど、チェーン店が増えすぎてどこも似たような味になっちゃってるのである。
八仙閣も鹿鳴春も一品香も、どれも冷凍ものが主流だってのは一目瞭然。餃子も「ここのは美味い」って言えるものにとんと当たってないしなあ。そのうち中華料理屋巡りをしてみたいものだが。
マンガ、柳沼行『ふたつのスピカ』1・2巻(メディアファクトリー/MFコミックスフラッパーシリーズ・各540円)。
『ダ・ヴィンチ』ほかで評判になってたんで、興味はあった。
どうして今まで買わないでいたかってのは、表紙絵の「古臭さ」に一抹の不安を感じていて、ヘタすりゃ大ハズレかもって予感がしてたからなんだね。
幸いなことに、読んでみた感じはそこまでひどくはなかった。けれど評判になるほどのものかって印象も同時にしたもんだ。全体的にはストーリーも含めて、可もなく不可もなくってとこかねえ。
いや、「絵が稚拙」ってことが理由じゃない。
稚拙は稚拙なんだけども、それが巧まざる稚拙さであるなら、特に嫌悪感は感じないのよ。
絵本なんかで子供に合わせてるつもりなのか、ワザと絵を子供っぽくヘタに描く画家がいるけど、そんな意図で描かれてるんじゃないかって印象なんだね。
古臭くて野暮ったい絵柄は多分、「懐かしさ」の演出なんだろう。トーンを極力減らして斜線や網掛けで陰をつけたりするカットが多いのも、60年代、70年代を彷彿とさせる。けれど、月に空気があっても、火星に宇宙人がいても別におかしくなかった時代はとうの昔に過ぎ去っているのだ。パロディならばともかく、絵柄ばかりかキャラクターもストーリーもまるで60年代、70年代なんじゃ、今更この作家は何をしようとしているのか、という疑問がどうしても沸いてしまう。
これは未来の物語なのである。
設定自体は宇宙飛行士を夢見る少年少女たちの、「リアル」な物語なのだ。
なのに、登場人物がまるで『青春とはなんだ』とか『飛び出せ!青春』レベルの感情先行型の人間ばかりで、展開もそれに追従した不自然なものになってしまっている。
忍耐力と協調性を試されるドミノ立てのテスト、監視カメラで見てたのなら、たとえ最終的にドミノを完成させたとしても、途中でパニックを起こしたアスミが合格になるはずがない。ハンデを乗り越えさせるという熱血ドラマを優先させるあまり、非リアルな展開を無理強いしているのだ。
結局、そういう古臭いドラマしか作れないってのは、大人子供というか、いいトシして未だに夢見がちな純情ぶりっこの読者に媚びてみせてるだけなんだね。それってなんかイヤラシくないか?
これが西原理恵子だったら稚拙な絵でも展開がリアルだから感動できるんだけどねえ。
私のことを、日頃悪態ばっかりついてるけど、根は純情で涙もろいイイ人、だなんて考えてる人は(たまにいるのだ、そんなやつが)、私がこれ読んですごく気に入るんじゃないかと思うんだろうな。
でも、ただの一人もステロタイプでない人間がいないんじゃ、感情移入のしようがない。こんな安っぽいドラマで感動できるほど私ゃ夢見る夢子さんじゃないのよ。
堤哲哉・編『僕らのスーパーヒーロー伝説 昭和40年代アニメ・ヒーロー大研究』(扶桑社・1400円)。
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06月03日(月)
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