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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■血管をタテに切る女/アニメ『七人のナナ』第4話/『ガウガウわー太』2巻(梅川和実)ほか
薬が効いてきたのか、やっと血便が止まる。
これで油断ができないのが私のカラダで、ちょっとバランスを崩したら、またすぐ元に戻ってしまうのだ。
でも、まあまあ調子回復とは言えるか。もう仕事は休みたくない。
朝っぱらから車の中でしげと口喧嘩。
しげが「イイよね、病気だと仕事サボれて」と言ったのがそもそもの始まり。
いつもなら、私もまたしげがバカ言ってる、と聞き逃すのだが、昨日の今日なんで、こっちも抑えが利かない。
「お前、それ本気で言ってるのか? オレがサボってるって」
「なん、脅迫する気?」
「何が脅迫だ、お前の物言いについて怒ってんじゃないか!」
「ほら、やっぱ脅迫やん」
この被害者ぶる卑怯さ。なんかもー情けなくなってきた。
日本精神神経学会が、「精神分裂病」を今後「統合失調症」と改めることにしたとか。
偏見をなくすためってことらしいけどさ、コトバ変えたって、病気に対する偏見自体がなくならなけりゃ、いずれ「統合失調症」だって偏見の目にさらされることになるだろうけどね。
でも、このコトバが耳慣れないうちは、確かに多少は患者さんがサベツされることが少なくはなるだろう。
「あの人『統合失調症』なんですって」
「へええ、そりゃ大変ねえ」(←意味分らずに頷いてる)
みたいな感じでさ。
その意味では、とりあえずの「対症療法」にはなりえるし、その間に偏見そのものをなくしていこうってことを考えていくってんなら、まあ、話は分らなくもない。
でも、まず断言していいと思うが、患者さんや病気に対する差別をなくそうって活動は、多分、全くされない。とりあえず、コトバ変えたからいいや、で放置されるよ、きっと。
「偏見をなくす」なんて、その人と深く付き合わなきゃできるこっちゃない。それどころか、深く付き合えば付き合うほど、「偏見が深くなる」危険だってあるのだ。自分自身が差別と偏見の塊だって自覚することになるかもしれない(いや、絶対にそうなる)覚悟を、全ての人間にしろってか? そりゃ到底ムリってもんだよ。人間なんてイザってときには弱いんだから。
あのさ、どうやったって差別される運命にあるなら、そんな「人の眼を避ける」ように逃げ隠れするような消極的な形を取るんじゃなくて、受けた差別をはね返せるような環境をどこかに作っとく必要があるんじゃないの?
それは例えば法律の改正であったり、もちろん自分自身の力だって必要なんだ。それを今、誰がどこでやってる? 「やってるつもり」のやつらしかいないじゃん。イヤミな言い方になるけど、それじゃまるであえて「差別を温存」してるみたいにすら見えるぞ。
まずは病気の人たちがもっともっと表に出て行ける、しかも差別されることのない「場」を作んなきゃなんない。ネットは、その環境造りにはすごく適してると思うけど、どうだろうか。
帰りは仕事が遅れて7時。
しげ、なんだかブリブリしてるので、そのせいかと思ったら、「ウチ、ADSLがつながらないってよ!」と憤怒の形相(いや、そこまで酷くはないが)。
よく聞いてみると、一応、申しこみ自体はやってみたんだそうだ。
ところが、相手の係の人から、「つながることはつながりますが、必ずしもISDNより早くなるとは限りませんよ」と言われたんだと。
「ああ、ウチはなんて不便なところにあるんだ!」と車を運転しながらしげは天を仰いでいるが(前見ろって)、立地条件だけの問題じゃないようにも思うがなあ。ブロードバンドと言っても、今一つ信頼できない感じだしねえ。
しげのイライラがこっちにまで移りそうなので、ムリヤリ話題を変えて「そう言えば、頼んどいた洗濯物干し、やった?」と聞く。
しげ、急に声が萎んで、「……やってない」。
これで静かになってくれたか……って、問題はなにも解決しとらんがな。はよ洗濯物干せ。
帰宅した途端、しげに電話。
「なんの電話? 今の」
「うん、今日またハカセ来るって」
「来るって……昨日の今日で何しに?」
「遊びに。友だち連れて来るって」
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01月31日(木)
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