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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ぷれぜんとってぷれぜんとってそーゆーもんか?/『パンゲアの娘 KUNIE』2巻(ゆうきまさみ)ほか
 今日はちょっと仕事に出るだけ。
 朝寝も出来るし、昼前に早く帰れるしで、いつもこの程度の仕事量だったらラクなんだが。
 天神まで出かけるつもりで、しげに職場まで迎えに来てもらおうと携帯に連絡を入れるけれど、しげのスカポンタンは、昨日、夜更かしでもしてたのか、いくらコールしても起きて来ない。
 これももう、毎度のことなんで、今更、文句を言う気も失せている。
 仕方なく、自宅近くのセブンイレブンまでタクシーで戻って、買い物をして時間をつぶす。
 そこで改めてしげに連絡を入れて、「天神まで出かけないか? 買い物もあるし、メシおごるぞ」と誘うと、ようやく思い腰を上げる気になったよう。
 昨日も似たようなパターンだったような気がするなあ。結局「メシ」「肉」で釣るしかしげを動かす方法はないのかなあ。
 「メシ」の一言で動けるんなら、初めから動かんかいと言いたいが、それができないってことはしげの頭の程度が日光猿軍団なみだってことなんだよな。なんだか、ビル・マーレイにビスケットをあげつづけて、破産しそうになるスティーブ・マーティンの気分である(わかりにくい例えですみません。でも解説はしません)。

 でも、呼び出されたしげ、なんとなく気分が悪そうな顔をしている。
 ありゃ、ホントにコイツ、具合が悪かったのかな、と気後れした時点で、もう、私の負け(-_-;)。
 「買いものって、何を買うの?」
 「DVD、買い損ねがあるんだよ」
 「……また、何買うの……?」
 「……『フランケンシュタイン対地底怪獣バラゴン』……」
 「……帰っていい?」
 「あ、お前への結婚記念日のプレゼントもあるから!」
 しまったなあ、まだなんにも考えてなかったのになあ。ともかくその場で何か考えつくしかないなあ。
 覚悟を決めて、まずは地下鉄の東比恵駅までしげの車で行く。
 天神まで車で行くのは、今の昼過ぎの時間帯だと、駐車スペースはほとんどない。
 以前、そういう無謀をして懲りた経験があるので、今回は、いったん、駅前の駐車場に車を停めておいて、地下鉄で天神まで出る算段なのである。
 ちょっとお高めの買い物をするなら、銀行でいささか軍資金が必要か、と西日本銀行の前に行くと……。
 あれ? なんか見たような自転車が……。
 うわあ、これ、先週の金曜に買い物に行ったとき、乗って来た自転車だ!
 帰りは自転車に乗って来たこと、すっかり忘れてて、タクシーで帰ってきてたんだった。
 ひい、ふう、みいと、六日もそのまんま。
 一応、鍵はかけてたけど、よく盗まれなかったよなあ。ボロなせいもあるかもしれないけど。
 おカネを卸して、自転車に乗って駐車場まで戻ってくると、しげが目を丸くする。
 「どうしたん! その自転車……」
 「いや、こないだ、乗ってきて、そのまま忘れてた……」
 「いつから!」
 「み、三日くらいかな?」
 ついサバ読んじゃったところが小心者なところである。
 しげも怒るより、私のマヌケを見られて楽しそうにニヤニヤ笑っている。……さっきまで気分悪そうにしてたのはどうなった。
 なんかもう、今日は完全にイニシアチブを取られそうな気配である。


 LIMBでDVDを買って、福家を回ったあと、天神コアのレストランで食事。
 そのあと、三越で、いよいよしげへのブレゼント探し。
 「やっぱ、結婚記念のブレゼントは指輪とかネックレスとかがいいなあ」とかいうので、その手の店を回る。
 「予算はいくらくらい?」
 と聞かれたので、小声で「まあ、5万以内?」と答えたら、しげ、店の中だと言うのに「そんなに!?」と大声をあげる。
 ……コラコラ、そんな声出したら、まるで私がン百万もするダイヤを買うようではないか。
 実際、しげは気がついてないようだったが、店員たちの目が、そのとき一斉にキラリと光ったのだ。
 しげのアクセサリーの感覚って、せいぜい一万円以内だと言うのに(考えてみりゃ、ホントに安い女だよな)。
 もう、店員さんがわざわざカウンターの中から出て来て、「ちょっと身につけてみられませんか?」とネックレスなんかを勧めることったら。

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12月27日(木)
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