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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■イブの焼肉/DVD『三毛猫ホームズの推理』/『シベリア超特急』ほか
 休日でも真っ先に早起きするのは私だ。
 しげもよしひと嬢も、昨日の『009』マラソンで疲れたのか起きて来ない。
 一人で購入したばかりのDVD『三毛猫ホームズの推理 ディレクターズ・カット』をかけていると、少しずつゾンビが蘇えるようにしげもよしひとさんも起きてくる。

 『三毛猫ホームズの推理』は、もちろん赤川次郎のシリーズものの中でも第一等の人気を博しているものの第一作で、途中からこのシリーズを読み始めた人には、片山義太郎兄妹に、こんなハードな過去があったとは信じられないくらいであるかもしれない。
 ミステリ界に留まらず、小説、映画を含めたエンタテインメントの世界は80年代以降、どんどん軽く、薄くなっていった。赤川次郎はそういったライト・ノベル作家の旗手のような言われ方をされることが多いが、大ブームを呼んだ『セーラー服と機関銃』にしたところで、決して、軽い内容ではない。
 女子高生が殺人事件に巻き込まれたり、女子高生が麻薬密売に巻き込まれたり、女子高生が遺産相続争いにまき込まれたり、女子高生が実は吸血鬼だったり、女子高生がヤクザの親分になったり、多少、突拍子もない設定ではあっても、そこにはオトナになることの「痛み」が描かれていた。でなきゃここまでヒットはしませんって。
 ところが、赤川原作の映画化作品は数あれど、作者本人が納得したものはほとんどないのが実状だった。
 相米慎二、根岸吉太郎、井筒和幸、崔洋一、澤井信一郎、金子修介といった、錚々たる監督たちは、よく言えば個性的、悪く言えば一人よがりな連中で、「赤川作品の魅力は何か」と言うことに全く興味も関心もなかったのである。赤川次郎が認めた監督が、岡本喜八と大林宣彦という「職人監督」であったことには注目していい。
 大林に関しては異論もあろうが、「アイドル映画」を撮ることに全く躊躇していない点で、他のええかっこしい監督とは一線を画している。だからこそ『ふたり』を見て、赤川次郎は『あした』も、そして秘蔵っ子とも言える『三毛猫ホームズ』の映画化を許可したのだ。
 主演の陣内孝則、正直な話、彼については、ハデでワザとらしい「濃い」演技しか出来ないと世間は思いこまされているんじゃないだろうか。いや、私も、この『三毛猫』を見るまではそう思ってたのだ。
 だって、片山義太郎って、血を見ると貧血起こす「お嬢さん」って仇名がついてるくらいの小心者って設定なんだよ? 陣内にそんなん出来るなんて思わないじゃん。
 ところが、初登場シーンからして、彼がまあ、実に繊細なのだよ。
 「お嬢さん!」と声かけられて、「……はい?」と振り返る表情の情けないこと!
 う、うまい! これぞ片山義太郎! 石立鉄男、どっか行け!
 役者として評価されていない人間に息を吹きこむ演出の冴えを見せられる監督が、今、どれだけいるというのか。まあ、さすがにここまでたくさん映画作られると、ちょっと閉口気味ではあるのだけれど、大林映画、まだまだ捨てたものじゃないですよ。
 栗原警視役の役者さんが実にイイ感じだしてんだけど、よく見る顔なのに誰だかわからないんだよなあ。誰か教えてくれ。

 密室トリックについて、よしひとさんが鋭いツッコミを入れるが、丁度二十年前、大学の推理研で先輩と論争したことがあったのを思い出した。
 私は「肯定派」だったんだけどなあ。やっぱりビジュアルで見せるとムリっぽく見られちゃうかなあ。チェスタートン式の「現実には起こりえないけれども虚構の上ではリアリティがある」トリックとしては許容範囲だと思うんだけれども。


 しげたち、芝居の小道具の猫耳などを作っているので、側で『マジンカイザー』『キカイダー01』『ナジカ電撃作戦』などをかける。
 ところがつい、調子にノってとんでもないものをかけちゃったのがウンの尽き(^_^;)。


 DVD『豪華愛蔵仕様 シベリア超特急 特別編集版』。
 製作・監督・原作・脚本、マイク水野。
 そう言えばアメリカじゃそう名乗ってたんだよなあ、水野晴郎。
 もしかして、ハーフかクォーター? 単にそう名乗りたかっただけ? ほぼ99.999%、後者って気はするが。

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12月24日(月)
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