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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■“神様”を読むこと/『SFJAPAN vol.3 冬季号 手塚治虫スペシャル』ほか
 書き忘れていたことから。
 挿絵画家の小松崎茂氏が、12月7日、心不全のため死去。享年86歳。
 グラビア集や伝記本も持ってて言うのもなんなんだが、私はあまり小松崎さんの絵を「魅力的」と感じたことがなかった。
 ある世代以降の人間が、手塚治虫や石ノ森章太郎のいかにもマンガマンガした絵柄を受け付けないのと同様に、小松崎さんの影響を受けて登場して来た次世代のイラストレーターたち、例えば高荷義之氏らに共感はしても、その先駆者たる小松崎さんのメカ描写にはイマイチ入れこめなかったのだ。はっきり言えば、私の子供のころには、小松崎氏の絵はもう充分、「ダサく」なっていたのだ。
 小松崎氏がもしも大戦期の軍艦や戦闘機のみを描き続けていたら、こんな印象は持たなかったろう。氏の骨太の線は、過去へのノスタルジイを喚起させるものとしては有効に働いていたからだ。
 しかし、正直な話、SFやら未来予想図やら描かれると……ちょっと待てって言いたくなる設定も結構多かったんだよねえ。
 だって海底軍艦「豪天」だしなあ。
 先端にドリルだしなあ。
 地上ならともかく海底でドリル使ったら、船体自体が回転すると思うが。
 いくら映画がウソを語るものとは言え、ものには限度ってものがあるんである。野暮は言いっこなしなんて言わないように。まだ熱光線かなにかで岩盤を溶かしていくって設定にしてくれてた方がよっぽど納得いくよ。要するに発想が貧困だってことなんだよね。
 過去の東宝特撮、小学生でも分るような設定ミスがやたらとあった。さてこれは小松崎さん本人に責任のあることなのか、それとも東宝の製作部に責任のあることなのか。
 どっちにしろ、「そんなに魅力的でない」と感じていた理由、おわかりいただけたであろうか。もちろん、小松崎氏の科学イラストの先駆者としての業績を貶めるつもりはないんだけれども。


 具合が悪くなって、仕事を途中で切り上げて帰ることにする。
 しげに連絡を入れて1時間早く来てもらい、車のシートを倒して横になると、「自分ばっかり寝て」と文句をつける。
 しげは夜が仕事なので、今は昼間に寝ている。
 ちょうど私が仕事している間、グーグー寝ている。
 しかし、そうなるとつまり、1時間早く来てもらうということは1時間寝る時間を削ってもらってるってことになるわけだ。しげにしてみれば、確かに文句の一つも言いたくなるのだろうけれど、無視して一人でタクシーなんか呼んだりするとそれはそれで機嫌が悪くなるのだ。
 素直に感謝したくてもこれじゃなかなか感謝できないよなあ。


 腹が減っているので、ともかく栄養を補給したいと、ブックセンターホンダで本を買って、諸岡のロイヤルホストでマカロニとスパゲティのセットを食べる。
 腹が満ちると気分自体は少しは落ちついてくるが、今度は胃もたれを感じるようになる。
 つくづく難儀なカラダしてるよなあ。


 マンガ、高橋留美子『うる星やつら/恋人泥棒』(小学館・300円)。
 この雑誌スタイルのコミックス、いちいち感想書いてないけどずっと買っちゃいるのである。ここしばらくは古川登志夫さんのインタビューなんかが載っていたが、今号はメガネ役の千葉繁さん。
 ……うわあ、白髪が増えたなあ。
 最近あまり声を聞いてない気がするけど、多分もう50歳くらいだろうし、昔みたいなハイテンションな死後とは避けてるのかな。それとも音響監督や演出家としての仕事の方が多くなってるんだろうか。
 『うる星やつら』のアニメが原作をも凌駕する傑作となりえたのは、押井守監督と千葉繁さんとの出会いがなければ(『タイムボカン』シリーズで出会ってはいたが)ありえなかったろう。
 「アフレコ現場の床には血が飛んでいた」というのは、他のキャストの証言もあることだし、誇張ではあるまい。メガネのあの血管が切れそうな声は、本当に血管切らせながら声を張り上げてた結果なのだ。
 『ワンピース』じゃバギーをやってたみたいだけど、できればもっと出番の多い役で出演してほしかったなあ。ウソップの役、昔だったら絶対千葉さんがやってたと思うんである(『幽遊』の桑原にあたる役だもんね)。

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12月10日(月)
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