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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ベランダでフラメンコる女たち/『狼には気をつけて』3巻(遠藤淑子)ほか
オタアミ当日まであと25日! 25日しかないのだ!

 今日も職場行きはしげの車で。
 細道近道を行くのに自信がないしげは、広い道をゆっくりと田舎のバスさながらのスピードで行く。おかげで時間的、スピード的なことを考えると、自転車とたいして差がない。何しろタクシーで山越え直線コース15分の距離を、山を迂回して30分弱かけて行くのだ。
 じゃあ、やっぱりタクシーで行くのがいいのかと言うと、やはり気分がまるで違う。運転は初心者だし、危なっかしくて仕方がないんだけど、しげの隣の方が気は全然楽だ。もっとも、つい寝てしまいそうになるのはこれから仕事だというのにちょいと困りものなのだけれども。

 帰りも今日はしげの車で、と思っていたのだが、「今日は練習があるから」と言われて、仕方なく途中までテクで。
 職場の近くにテイクアウトの店ができているのだが、ここが新装開店だというのに、いつ覗いてみてもまるで客が入っていない。ちょうどいい機会だからと中に入ってみると、店が狭いわりにはヤキソバ、八宝菜、肉ダンゴ、唐揚げなど、中華を中心にサラダバーなどもあって、品揃えはまあまあ。好きなだけオカズをパックに詰めこめて100グラム百円前後の、手ごろな価格。繁盛してないのは道路ぞいなわりには目立たなくて、車も停めにくいせいだろう。
 卵とじとハンバーグ、茄子のスパゲティを買ったときに売り子さんが「どうぞご贔屓に」と挨拶した声に、ちょっと切実さがにじみ出ていた。……できるだけ利用してあげようかな。

 結局タクシーで帰宅すると、鴉丸嬢が御来臨。
 「なんだ、今日練習って、ウチで練習だったのか」
 そりゃ、迎えにも来れないのも当然か。
 鴉丸嬢、パソコンの前に座ってパコパコと何やらキーを叩いているが、なんだか妙に機嫌がいい。
 「あのねー、さっきまで、ベランダでしげさんと一緒に『星のフラメンコ』おどってたのー」
 見ると確かにパソコンの横に西郷輝彦のCDが。確かにねー、今度書いた脚本ねー、ダンスのシーンがやたらとあるんだけど、隣近所に音が駄々漏れな状態で、しかもウチのマンションの真正面にゃ、もひとつマンションがあって、丸見えなのに、そこで踊ったってかぁ?
 度胸があるっつーか、何も考えてないっつーか。いや、役者としては実に正しい行為なんだけど。
 「……近所から苦情は来なかったのか?」
 思わず口にしてしまったが、もしも偶然この部屋のベランダを覗いたヒトがいたとしたら、「なんじゃこりゃ」と思っただろうな。

 鴉丸穣が書きこんでいたのはウチの劇団のホームページの日記であった。
 彼女自身はパソコンを持っていないのだが、しょっちゅう其ノ他くんちに遊びに行ってるんだから、てっきりホームページの方も覗いているものだと思っていたのに、全く見ていなかったのだ。
 話によると、藤田くん(兄の方)が毎月ハンパでない額の膨大な金額をインターネットに注ぎ込んでいるので、ちょっとパソコンが使えないような状況になってるらしい。おいおい、いったいどうなってんだよ藤田くん。
 ほかにも藤田君は、ああでこうであんなでそんな状態になってるって話も聞いたが、ああ、もうこれ以上は書けやしない。人間、転落して行く時はどこまでも落ちて行くものなのだなあ。


 アニメ『FF:U ファイナルファンタジー アンリミテッド』第5話「シド」。
 私は『FF』を全然知らないのだが、しげも鴉丸嬢も、結構詳しいらしく、サブタイトルに「シド」と出た途端、「わあ、シドが出るんだ!」と興味津々な様子。
 「なんだいシドって?」
 「FFの定番キャラだよ」
 ったって、それだけじゃなんだか分からん。いつも思うが、しげの説明は全く説明になってない。まあ、ともかく見てみりゃ分かるか、と思っていたら、出て来たキャラクターは、メカフェチっぽいあんちゃん。自分の作った潜航艇(?)に「キャサリン」なんて名前をつけている。
 「ええ? これがシド!?」
 しげも鴉丸嬢も途端にハモる。
 「なんだよ、シドって、こういうキャラじゃないのか?」
 「若い! シドはもっと爺さんじゃなくちゃ!」

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10月30日(火)
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