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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■「ばびゅーん」の語源は『宇宙少年ソラン』から/『黒鉄 <KUROGANE>』5巻(冬目景)
オタアミ当日まであと26日! 26日しかないのだ!

 さて、「物語」はまず昨晩のことに遡る。
 一日中、べしゃべしゃ、ばちゃばちゃ、じゃわらじゃわらと振り続く雨に、すっかり鬱陶しい気分、マンガ読んでても何となく溜息が、ホウ、と口からツイ漏れる。
 ニュースの解説で、気象士さんとやらが「ちょうど気候のサイクルができてますからねー、一週間毎に休日は雨になるんですよ、はっはっは」なんてお気楽なことを言ってくれている。
 台風でも来ないことにはこのサイクル、なかなか崩れないそうだ。
 ああ、また明日は雨ん中、合羽来て自転車で、汗にまみれながら山越えかあ、なんて考えてたら、憂鬱がそのまま顔に現れたのか、しげが私の顔を何か妙に期待感に満ちた目でじっ、と見つめてくる。
 「何だよ、その目は」
 「明日、職場まで送って行こうか?」
 そう言うしげの目はウルウルと潤んでいる。抑えちゃいるが唇は今にも笑い出しそうだ。
 「……ああ、頼めるんなら、お願いしようか?」
 「……いいと? ホントに?!」
 自分で頼んでおきながら、私が承諾したら驚くってのがよくわからんが、タクシー使うよりおカネがかからないのは間違いのないことなので、断る理由はない。
 まあ、あれだけ「お前の運転する車の助手席になんか乗れるか!」と悪態ついてたからなあ。でも、しげの保証人になっちゃった以上は、しげに事故を起こしてもらっちゃ困るのである。
 私は「ナイフは危険だからナイフは持たせない」みたいなサルでアホでスットコドッコイな考え方はしない。危険の全くない道具なんて、あるはずがない。自ら得た技術をいかに活用するか、それを考え、使いこなしていくことを常日頃考えておかなければ、突発的な事故等に適切に対処することはできまい。
 ウデの上達は練習あるのみである。
 「なんだ、私の練習のためか」
 なんだ、ってこたぁないんだがな。
 冗談ではなく、私は本気で車ってやつが嫌いである。
 なのに「一緒にドライブでもするか?」なんて声かけてることの意味、少しは気付いてもらいたいもんなんだけど。

 で、今朝になって、7時半にウチを出るはずが、しげはやっぱり、ぐごがげごぴー、と寝ているのであった。
 いや、起こして出かけたけどさ。
 ほったらかして先に出かけてもまたしげにヒス起こさせる原因にしかならないし。

 しげがいろいろ悪戦苦闘したのか、車内の匂い、随分薄くなっている。
 ほんのりシトラスの香りが残っているが、鼻につくほどではない。
 自分たちの車に乗ってみるまでは、たいして意識もしてなかったことだが、ここ数日の車中体験で、世間の車持ちが、自分の車をただの乗り物としてだけでなく、生活環境の一環にしようって気持ちになるのもわかる気がしてきた。
 かと言ってしげみたく「ロドリゲス」なんて名前つける気にはなれんけど。

 乗り込んだ途端、『ブルース・ブラザース2000』のサントラが鳴り出すが、さすがに朝っぱらからだと頭に響いて不快だ。ナビもしなきゃならないのに気が散ってしかたがないので、音を消させる。
 「広くてわかりやすい道行くね〜」
 と言って、しげから地図を手渡される。
 「この道を通って、右折して左折するから、ナビして」
 「わかった。この道を通って、右折して左折だな?」
 で、この道を通って、右折、まではよかったが。
 「あ、そこを左」
 「え? 通れないよ!」
 「……通れないって?……あ、通りすぎちゃってどうするんだよ!」
 「だって、車が向こうから来てたんだもん。次の角を曲がるよ」
 「……まあ、遠回りになるけど仕方ないか……はい、そこ、左」
 「え?! 右じゃないの?!」
 「……さっき、左に曲がり損ねたんだろうがあ!」
 「だから、今度は右に……」
 「右見てみろ! そっちは山ん中だろうが!」
 「山に入れば、さすがに道を間違えたって自分でもわかるし」
 「迷うためにわざわざ間違った道選ぶなあ!」
 ……遅刻せずに職場に辿りつけたのは奇跡のような気がする(ーー;)。 


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10月29日(月)
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