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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■封印/第三舞台『ファントム・ペイン』(鴻上尚史作)/アニメ『カスミン』第1話
 オタアミ当日まであと42日! 42日しかないのだ!


 すっかり書くのを忘れてたけど、この人のことを書かないではいられない。
 10月9日、映画監督、ハーバート・ロス氏、死去。
 死因は詳らかではないが、ここ数ヶ月、入退院を繰り返していたとか。
 享年74歳。

 CNNは「映画『愛と喝采の日々』のハーバート・ロス監督、死去」と伝える。
 もともとバレエの振付師から出発した経歴をメインに、バレエ映画を数多く撮ったと紹介。
「バレリーナのノラ・ケイさんと結婚したが、ノラさんは1987年にがんで死去。1989年には、故ジャクリーン・ケネディ・オナシスさんの妹リー・ラジウィルさんと再婚したが、10年後に離婚した。」とも。
 代表作として挙げられていたのが、『チップス先生さようなら』『ボギー!俺も男だ』『グッバイガール』『ニジンスキー』『ダンサー』『フットルース』『摩天楼(ニューヨーク)はバラ色に』『マグノリアの花たち』など。

 まあ、一般的にはそういう認識だったのだろう。
 でも、私にとってのハーバート・ロスは、上記の作品の中では『ボギー』くらいしか面白いと思ったものはない(っつーかほかのは余り見てないんだが)。

 それよりも、ロス監督といえば、脚本家ニール・サイモンとの名コンビであったことを明記しておかねばなるまい。
 調べてみると、『サンシャイン・ボーイズ』を初め、5本もある。『カリフォルニア・スイート』『グッバイガール』『わたしは女優志願』『キャッシュ・マン』……あはは、ニール・サイモンのファンみたいなことを日ごろ言っときながら、私の見てるのが最初の一本だけだ。情けないなあ。
 でも、その1本だけでもこのコンビのスゴさは充分語れると思う。
 『サンシャイン』はいわゆるバックステージものなのだけれど、私自身はこの作品はチャップリンの『ライムライト』を越えたと思ってる。ウォルター・マッソーとジョージ・バーンズのかけあい漫才は楽しかったし、二人だけの幕切れがイキだった。三谷幸喜が「東京サンシャインボーイズ」を立ち上げたのも本作へのオマージュだろうが、逆立ちしたって敵うもんじゃないのである。

 いや、それよりも更に、私のロス監督フェイバリット・ムービーは、実はこの一本なのだ。

 『シャーロック・ホームズの素敵な挑戦』。

 ……あえて原題を書こう。“The Seven-Per-Cent Solution(7%の溶液)”。
 これは、いわゆるホームズシリーズの「正典(キャノン)」ではない。映画評論家ニコラス・メイヤーによるパスティーシュ(贋作)小説、『シャーロック・ホームズ氏の素敵な冒険』の映画化なのである。
 ホームズがコカインの常習者であったことは正典にも記載のあることだが、原題の7%溶液というのは、このコカインの濃度のことを表している。このコカインがホームズの頭脳にどのような影響をもたらしたか。
 それを解き明かすのがなんと、実在の精神分析医、シグムント・フロイト!
 ホームズが実在の誰それと会った、という贋作は数あれど、私はこの「フロイトVSホームズ」が、山田風太郎の『黄色い下宿人』(夏目漱石VSホームズ!)と並ぶ傑作だと信じて疑わない。
 ホームズに扮したのは、ニコル・ウィリアムソン、腺病質のホームズをキッチリ演じていた。後に彼は『刑事コロンボ/攻撃命令』でホームズを彷彿とさせる役を演じ、擬似「コロンボVSホームズ」の夢も叶えてくれることになる。……アンタ、知ってるかい? 吹き替え版の声優は平田昭彦だよ!?
 Dr.ワトスンにロバート・デュバル、マイクロフト・ホームズは『OO7/ダイヤモンドは永遠に』で三人目のブロフェルドを演じたチャールズ・グレイ、モリアーティ教授はアッと驚くハムレット名優、ローレンス・オリヴィエ。
 しかしなんと言っても感動なのは、フロイトがもう一人のクルーゾー警部、アラン・アーキン!

 つまりこの映画、「クルーゾーVSホームズ」でもあるんですね(^o^)。


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10月13日(土)
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