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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■新番紹介、大トリ!/アニメ『サイボーグ009』第1話「誕生」
 オタアミ当日まであと41日! 41日しかないのだ!

 しげもよしひと嬢も起き出す前に、朝もはよから休日出勤。
 ……って、ホントに6時半だってのに自転車飛ばして山越えだぜ。いったい何の因果でこんな目に(TロT) 。
 バタバタしててつい寝ているしげの髪の毛を踏む。
 「いたあい!」と悲鳴を上げて一瞬アタマを起こしたが、またそのままパタン、と倒れて目を閉じたので、多分、夢だと思ったであろう。

 そんなわけで、よしひと嬢にはご挨拶もできなかった。
 まあ、またそのうち遊びにくることもあろうから、せいぜいよしひと嬢の喜びそうな映画やなんかを録画して用意しておくことにしよう。
 実を言うと、今回も三船敏郎主演の『戦国無頼』とか『赤毛』とか、準備してはいたのだが、チラリともお見せできなかった。そりゃ『ナジカ』とか見せてたからだろうって、そうなんだけど(^_^;)。以前から「黒澤明の『野良犬』見せてください」なんて頼まれてて、うんうん頷いてたのに、その約束も未だに果たしていない。
 よしひと嬢も、日頃映画を見たくてもなかなか見に行けないことも多いようなので、せっかくの機会をムダにさせてしまったようで、申し訳ないことであった。

 昨日の日記では触れ損なってたことであるが(っつーか疲れて書ききれなかった)、実際、よしひと嬢の会社、残業が多くて、録画したビデオもなかなか見られないくらい忙しいらしい。
 でも残業の中には「勉強会」とか称するタダ働きもあるそうなので、結構アコギな職場みたいだ。
 なんでもそこの社長は会社の真ん前に、今時「二宮金次郎の銅像」をおったてるようなアナクロ爺さんだということだが、よしひと嬢が「ポケットマネーで建てたって言ってるけど、それ、会社の売り上げだろーが!」とここ数ヶ月ずっと怒り続けているのである。

 まず間違いなく、この「二宮金次郎像」ってのは、薪しょって片手に本を持ってる姿だと思うが、さて、実在の二宮尊徳が子供のころホントにこんなことしてたのかというと、これがイマイチ定かではないのである。
 というのが、このイメージが世間に広まったのは、実は1891年(明治24)、尊徳の門人の手になる彼の伝記『報徳記』を読んで感動した作家、幸田露伴が、少年少女向けの「少年文学」の中で表した伝記『二宮尊徳翁』の中に、絵入りで薪を担いで読書する金次郎像を提示したことがきっかけになっているのである。
 この話が国定教科書の修身の教材として採用されたことで、世間一般にひろく知られるようになって、半ば国策的な形で全国の小学校の校庭に金次郎の銅像がたてられることになったわけだ。
 幸田露伴という人は、ともかくマジメ一徹な人で、歴史に取材した小説を書く場合でも、原典に信憑性がなかったりすると筆を折っちゃうような頑固なところがあったから、このエピソードも事実なのかも、と一瞬思っちゃうのだが、それがどうも違うらしい。
 なぜかというと、ジョン・バニヤンの宗教書『天路歴程』の1886(明治19)年の翻訳版の挿絵に、背中に大きな荷物を背負って本を読んでいるクリスチャンの少年の姿が既に登場していたからである。
 実際、「文章として」尊徳がそんなことしてたって記録はないんで、言い替えれば、そんなイメージだけが先行してるものにノせられて「精進」をスローガンにしてるような奴は、相当アタマの中身がとろけてると判断してまず間違いないと思われる。
 ……でも、よしひと嬢の職場、最近業績が上がってるらしいのだ。果たしてホントに何かの御利益があったのか、それとも鰯の頭もなんとやらの効果であるのか。


 昼過ぎには仕事を終えて帰宅したのだが、どうにも頭が重く、そのままぶっ倒れて寝る。しげはどうせ練習で遅かろうから、唯一ゆっくり出来る時間だ。
 目が覚めて見るともう夕方。
 ちょっと慌てたのは、今日が新作『サイボーグ009』の第1話の放送日だったからだ。いやはや、危うく録画し損ねるところだった。
 一読三歎、いや、一見百歎と言うべきか、殆どハズレばかりの新番の中で、掛け値ナシの傑作、過去の全ての009映像化を凌駕したことは間違いない。
 興奮して即座にオタアミ会議室に感想を書きこむ。

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10月14日(日)
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